歩みを振り返り平和への決意新たに WCRP日本委青年部会が発足50周年記念行事 (動画あり)
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会青年部会は今年、発足50周年を迎え、5月13日、京都市の天台宗蓮華王院三十三間堂と、立正佼成会京都教会で記念行事を開催した。同日本委の役職者、青年ら延べ350人が参加。当日の様子はインターネットでライブ配信された。
青年部会は、京都で開かれた第1回WCRP世界大会から3年後の1973年、世界平和への貢献を目的に発足した。以来、「出会い」「啓発」「実践」を活動方針とし、青年宗教者による相互理解の場として「青年部会学習会」を実施。96年以降は「サマーキャンプ」と改称し、対話と協力による平和活動のあり方を研さんしている。2009年には、世界の青年宗教者と連携して核廃絶や軍事費削減、開発の促進などを呼びかける署名活動「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」に取り組み、集まった2000万人の署名を国連に提出した。自然災害に伴う被災地支援にも力を注いでおり、11年の東日本大震災では街頭募金を実施。16年の熊本地震では、被災地域での瓦礫(がれき)の撤去や避難所での炊き出しといった活動を展開した。
記念行事の第一部「祈りの集い」は、三十三間堂本堂で開催された。杉谷義恭青年部会幹事長(天台宗国際平和宗教協力協会専門委員)を導師に天台宗の様式で読経供養が行われ、世界の恒久平和と人類和合を祈念した。WCRP/RfP日本委の役員、青年部会の幹事、アジア太平洋諸宗教青年ネットワーク(APIYN)の代表による献花の後、全員で黙とうを捧げた。
挨拶に立った天台宗妙法院門跡の杉谷義純門主(WCRP/RfP日本委評議員)は、平和を推進する営みは、いつ達成できるか分からないものであり、それは、先の見えない長い坂道を重い荷車を押して進むようなものであると説示した。その上で、若い時に強い信念を持ち、むちゃであっても突き進む気概を持つことで、その経験が血肉となり、人生のさまざまな場面に役立つと強調。参集した青年宗教者に対し、情熱を持ち続け、今この時に何をするかを大切にして日々を過ごしてほしいと語りかけた。
この後、本会京都教会に会場を移し、第二部「記念式典」が行われた。主催者挨拶に立った杉谷幹事長は、WCRP/RfPの創設メンバーの一人である庭野日敬開祖の「自らの宗教に徹し、つきつめた真剣さでそれを実践していこうとする人は、いやおうなしに他宗教の人びととも協力する心境に達する」との言葉を紹介。青年部会のさまざまな活動を通じて仲間をつくることが、宗教界全体の、そして、世界平和の達成に向けた大きな力になると語った。
次いで、青年部会の活動を振り返る映像作品「50年の歩み」が上映された後、青年部会第5代幹事長を務めた金光教泉尾教会の三宅光雄教会長、日本ユニセフ協会の早水研専務理事、APIYNのレンツ・アルガオ議長、WCRP/RfP日本委の戸松義晴理事長が祝辞を述べた。
続く第三部「シンポジウム」では、弓矢八幡の林丈嗣教主らによる京都ご当地ソング『女ひとり』の演奏に合わせて、天台宗三千院門跡の小堀光實門主が登壇。『本音を語れる出会いは自他を育てる』をテーマに基調発題を行った。参加者は無料通信アプリ「LINE(ライン)」のオープンチャット機能を使い、発題の中で感銘を受けた言葉、感想や疑問などをリアルタイムで共有した。
この中で小堀門主は、自身の青年部会との出会いや、第7代幹事長を務めた体験を披歴した。また、「宗教は心を支える『一本の杖(つえ)』」と明示。「杖」にはそれぞれ特長があり、世の中の人に「自分の体に合ったものを選んで頂くこと」が本来の宗教者の姿勢であるにもかかわらず、一部には、「杖を使わないと不幸になる」「杖を使いなさい」と押し付けるような態度が見られ、宗教に対する信頼を揺るがせていると指摘した。一方、青年部会のメンバーは、自身の杖を大事にしつつ、世界平和という大きな旗印に杖の先を向けて集っており、その行動によって、世の中に「杖」の魅力を伝えることができると強調。「そうした宗教者としての使命を自覚して頂きたい」と語りかけ、参集する青年宗教者を激励した。
この後、村上泰教幹事(石鎚山真言宗総本山極楽寺教学部長)、鷲尾龍華幹事(東寺真言宗大本山石山寺座主)がファシリテーターを務め、パネルトークを進行。オープンチャットに寄せられた参加者の言葉を紹介するとともに、対話型の人工知能(AI)「チャットGPT」を活用しながら、世界平和に向けた宗教者の役割や、行動などについて語り合った。