静岡支教区「クリエーション・コア」 “なんでもあり”の熱い語り場 枠にはめようとする意識を払拭

会員たちは、日頃感じている胸の内を率直に伝え、時には笑顔を交えながら語り合った(「Zoom」の画面)

昨年、立正佼成会静岡支教区で行われた、幅広い話題で対話を重ねる法座ベースの新たな語り場「クリエーション・コア」が、今、熱い。

「Creation(創造)」と「Core(核)」が組み合わさった名称には、“弱さ”も含めたありのままの自分を受け入れ、その時々に感じた自分の心の動きを大切にするという思いが込められている。従来のような「~しなければならない」と枠にはめる指導によって相談者の思考を止めてしまわず、自分の心を解放することや、枠に当てはめようとする意識を取り払うことを狙いにしている。自分自身を主人公に置いたワークショップだ。

全4回の開催で取り上げたテーマは、『私を佼成会につなげてくれたもの~出会い・きっかけ・ルーツ~』『日頃の私×心の現在地』などさまざま。サイコロの出た面に合わせて“お題”を決めるなど、工夫を凝らしたテーマ選びが好評だ。

参加者が対面でなくオンライン上で集まるのも魅力の一つ。対話が始まる直前までテーマを知らずに参集する。その日の感情の動きを大切にするため、事前に内容の告知はしない。テーマが決まったら、年齢や性別、教会など全てシャッフルした少人数グループに分かれ、対話が始まる。

クリエーション・コアは“なんでもあり”がモットーで、画面オフや途中退席、沈黙などどんな参加スタイルも受け入れる。クリエーション・コアへの参加を決めた理由に、“なんでもあり”という斬新なスタイルにひかれたという意見が少なくない。

対話の進行を担うのは、“法座主”ではなく“ファシリテーター”。ファシリテーターとは、話しやすい場の空気づくりに努め、参加者の思いを引き出し、受けとめていく役のことで、参加者からの相談に対し無理に答えを出したり、誘導したりしないことが特長だ。

10月30日に行われた4回目では、『自分の中の伸びしろ~いろんな私を探す旅に出かけよう』のテーマに沿って、参加者はこれまでの自分を振り返り、人と関わる中で生じた葛藤や心に湧き上がる疑問など率直に意見を交わした。

介護職に就く参加者の一人は、利用者の強い口調に戸惑う日々を吐露した上で、相手の言葉の背景にはどういう思いがあるのかを、語り合いの中で探っていった。ファシリテーターも話の善しあしを判断せず、本人が感じた率直な感情に寄り添うとともに、言葉を引き出していった。

ファシリテーターを担った一人、浜松教会の青年女子部長(39)は、青年部の法座の中で法座主を担ったこともある。自分の経験したことのない悩みに何を伝えたらいいか葛藤し、法座が苦しいと感じたことがあるという。クリエーション・コアを通し、ファシリテーターを経験する中で、「この人に『救いを届ける』という思いからつい『結び』を入れそうになります。しかし、法座主のように結びを入れなくていいので重圧を感じなくなりました」と話す。法座は自分の我(が)を取り除く大事な場だと思えると同時に、クリエーション・コアのように自分で気づきを探していく場も必要だと気づいたという。「自分で試行錯誤して得た気づきは、より記憶に刻まれます。法座とクリエーション・コア、どちらも大事にしていきたいです」と語った。

全4回を通して参加した掛川教会の青年婦人部長(36)=は、テーマに沿った体験が浮かばず、言葉がなかなか出てこなかった回があったという。クリエーション・コアは“なんでもあり”がモットーではあるが、いざ沈黙の時間が続くと、本当にこれでいいのかと悩んだ。クリエーション・コアを終えた後、岩木謙友掛川教会長に相談すると「モヤモヤを感じたことはファシリテーターを助けたいという婦人部長さんの優しさですね」と言われ、何もできない自分にも優しさがあったのだと安心した。その時を振り返り「もっと話せたら」「悔しい」と感じたことを大事にしながらも、「沈黙は人が思いを巡らす貴重な時間と気づけました」と話す。

クリエーション・コアは今年も行われる予定だ。