「アブラハム系宗教の家」の竣工式典が挙行(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコとイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長が2019年2月、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、世界から参集した400人の諸宗教指導者(立正佼成会から庭野光祥次代会長が参加)を前に、「人類の友愛に関する文書」に署名した。その精神を実現するためのシンボル「アブラハム系宗教の家(アブラハム・ファミリー・ハウス)」の竣工(しゅんこう)を祝う式典が2月16日、同国のサディヤット島で挙行された。
この施設は、同文書の署名時に建設を公表されていたもの。アブラハムを共通の祖師とするユダヤ教、キリスト教、イスラームの礼拝所を中心とし、諸宗教対話のためのセンターや庭園を併設している。16日の式典に続き、翌17日金曜日にモスク(イスラームの礼拝所)で、18日土曜日にシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)で、19日日曜日にキリスト教教会で礼拝が行われた。
式典には、UAEの副首相兼内相、寛容と共存相らが参加。あいさつに立ったアブラハム系宗教の家のモハメド・カリファ・アルムバラク所長は、「次世代のためのより平和的な世界の構築に向けた共通の人間性と努力を強調する『アブラハムの家』が、若年世代にインスピレーションを与えることができるように」と願った。
バチカン諸宗教対話省長官のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿は、「『アブラハムの家』が、諸宗教、文化、伝統、信仰を持つ人々に対して、『隣人を愛せよ』という、単純明快で本質的な呼びかけの具体的な範例となるように」と述べた。「『アブラハムの家』は、われわれが平和に向けての道を共に歩む途上にあり、対話と相互尊重を促進し、人類友愛の実現に向けた奉仕を展開していく場」だ。
イギリス連邦(コモンウェルス)のヘブライ人統一組織(ユダヤ教)でラビ長を務めるエフライム・マーヴィス師は、「今後、この例外的な聖なる場を、調和と平和を促進する場としていこう。相違が人類を分裂させる世界で、われわれが求める普遍的な希求を実現していくための分かち合われた価値観が存在することを、ここから発信していこう」と呼びかけた。
アブラハム系宗教の家は、3月1日から一般公開される。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)