トルコ地震の犠牲者に哀悼を表する教皇(海外通信・バチカン支局)

2月6日、トルコ南部を震源地とするM(マグニチュード)7.8の大地震が発生した。トルコ、シリア両国で死者は1万2000人を超え(8日時点)、今後、2万人に達するとの予測もされている。世界各国が支援や救助部隊の派遣を表明する中、ローマ教皇フランシスコは6日、トルコ、シリア両国の教皇大使宛てに、バチカン国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿名で弔電を送った。両弔電の内容は、教皇大使によって両国政府に伝えられる。

トルコのマレク・ソルツィンスキー教皇大使(大司教)への弔電で教皇は、「トルコ南東部を襲った地震による膨大な生命の喪失に深い哀悼」を表明。「全ての被災者たちに対する霊的連帯を約束」しながら、「死者たちを全能の神の慈愛に託した」と記した。また、喪に服す人々に対しても哀悼の意を表し、「負傷した人々に対するケアと継続的な救援にあたる緊急支援活動の従事者が、神から堅固と忍耐の徳を与えられるように」と祈った。

シリアの教皇大使であるマリオ・ゼナリ枢機卿に宛てた弔電では、「シリア北東部を襲った地震による死者、喪に服す人々に対する深い哀悼の意」を表し、「災害に苦しむ人々を全能の神の摂理に託し」ながら、緊急救援活動の従事者に向けて祈りを捧げた。さらに、「霊的連帯を新たにするため、長きにわたり苦しみ続けるシリア国民に対し、神が強靭(きょうじん)さと平和を与え、祝福してくださるように」と願った。

正教会のコンスタンティノープル(現トルコ・イスタンブール)・エキュメニカル総主教であるバルトロメオ一世も、すぐにエルドアン大統領へ宛てたメッセージを送付。この中で、「犠牲者に対する哀悼と、エキュメニカル総主教府からの支援」を約束し、「全ての善の源である神が、犠牲者たちの霊を安らかに永眠させ、最も深い喪に服す遺族に力を与えてくださいますように」と祈った。そして、負傷者の早急な完治を願うとともに、救援部隊や医療従事者のためにも祈りを捧げた。

世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー新総幹事も同日に声明文を公表。「恐るべき出来事によって誘発された死と衝撃のさなかにあって、生命なる神に、愛する者たちを失った人々への慰めと、犠牲者たちとの連帯活動に従事する人々に対する力を祈ろう」と呼びかけた。

また、今回の地震を「この100年間で最大レベル」と評し、「捜索、救援活動が継続される中、(WCCに加盟する)キリスト教諸教会が、おのおのの共同体の被害状況に関して調査を継続している」と明かした。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)