水戸教会 発足70周年を記念した文集『私の体験説法』を制作

毎週配信される体験説法の朗読音声は、教えの実践で救われた喜びを分かち合う機会になっている

立正佼成会水戸教会は今年、発足70周年を記念し、会員の信仰体験を1冊にまとめた文集『私の体験説法』の制作に取り組んだ。今月には、291人の救われの体験が詰まった文集を発刊。今後、会員に配布される。また、4月から毎週水曜日、会員有志が体験説法を朗読し、その音声をインターネットを介して配信している。一連の取り組みは、一年を通じて70周年を迎えたことの感謝を深め、サンガ(教えの仲間)で喜びを分かち合う機会となっている。

文集制作の目的は、説法原稿の作成を通して、会員一人ひとりが自らの信仰の歩みを改めて振り返ること。そして、教えの実践によって救われた喜びをサンガ同士で分かち合い、多くの支えに生かされていると気づくために実施された。

今年1月に募集を開始すると、徐々に会員から原稿が届いた。そこには、病や人間関係などの悩みを通して自らを省み、サンガに励まされながら教えに沿ったものの見方を実践し、救われた喜びと感謝がつづられていた。それら一つ一つに目を通した文集制作の実行委員は、多くのサンガと体験説法を共有したいと思い、文集の発刊に先立つ形ではあったが、オンラインを使った朗読音声の配信を始めた。

原稿を提出したある女性会員(52)は、家族やサンガへの感謝と誓願をつづった。女性会員は約10年前、3人の育児などに追われて心身のバランスを崩し、ささいなことにいら立ち、声を荒らげたり倦怠感(けんたいかん)にさいなまれたりする日が続いた。女性会員を案じ、夫や義母は家事や育児を積極的に担い、いつも真摯(しんし)に話を聴いて気持ちを受けとめてくれた。青年婦人部の仲間も折に触れて家を訪れ、優しい言葉をかけてくれた。周囲の温かさが心に染み入り、穏やかな心境で過ごせるようになると体調も少しずつ回復していった。

また4年前、明朗な触れ合いで周囲を明るくするサンガと出会い、自らもそうなりたいと願うようになった。現在は「みんな仲良く」をモットーに元気なあいさつなど日々の触れ合いを大切にする。説法原稿には、「太陽のような明るい人になれるよう努力していきたい」と誓願を記した。

看護師の女性会員(44)は、3年前に家族で訪れた飲食店で人命救助を行った経験を振り返った。当時、息子の知らせを受けて向かった近くのテーブルで、高齢男性が食べ物を喉に詰まらせて呼吸困難となり意識障害に陥っていた。女性会員は男性の命に危険を感じ、救急隊員の到着まで、大声で呼びかけながら腹部を圧迫して気道の異物を取り除こうと無我夢中で救急処置を行った。

後日、救急隊員から、男性が一命を取り留めて回復に向かっていると連絡を受けた。女性会員は安堵(あんど)するとともに、男性の家族から何度も感謝の言葉をもらったことを思い返した。また、息子が苦しむ人を気にかけて看護師の自分を呼んだことにも喜びが湧いた。人のために率先して行動できるのは教えに出遇(であ)えたおかげさまだと感じ、その思いを原稿にした。

毎週配信される音声はアーカイブ化され、スマホなどでいつでも再生できる環境を整えた。体験説法の朗読を聴いた会員からは、「同じ病を患う人のお説法に励まされた」「久しぶりにサンガの声を聞けて安心した」といった声が寄せられている。11月に発刊する文集を心待ちにする会員も多いという。

文集制作の実行委員長を務める支部長(54)は、「皆さんの体験説法を読ませて頂くと、仏さまはいつも私たちを見守り、教えを説いてくださっているのだと実感します。さまざまな苦を受け入れ、許し、信仰を深める糧として感謝していく生き方を皆で目指していきたいです」と語った。