WCRP日本委 「ストップ!核依存タスクフォース」学習会 核兵器廃絶に向けて宗教者が対話・協力を

ICANのフィン事務局長は、核兵器の被害者支援をはじめ、幅広い場面で宗教者が貢献することを期待した(「Zoom」の画面)

『核に依存しない世界をめざして――宗教対話・協力による新たな貢献』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会「ストップ!核依存タスクフォース」による学習会が10月29日、オンラインで開催された。各教団の信徒や市民ら約100人が参加した。

同学習会は、核兵器禁止条約第1回締約国会議、第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議を経た現状を踏まえ、核に依存しない世界を目指し、宗教者が果たす新たな役割を模索することが目的。

冒頭、立正佼成会広島教会の女性会員(85)が「信仰者による被爆証言」を発表。原爆で両親と姉たちを失って孤児となった経緯を語り、「戦争がどんなに悲惨で愚かなことか、体験者の一人として命のある限り伝えます」と誓った。

次に、核兵器廃絶に向けた宗教者の役割に期待を寄せる3人の識者が発題した。

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は、事前収録動画の中で、核兵器禁止条約の創設にはローマ教皇フランシスコが条約交渉を支持するなど、宗教者が大きく貢献したと強調。今後は、同条約が定める核兵器による被害者支援や環境修復などの幅広い場面で宗教者が重要な役割を果たすと述べた。その上で、ロシアによるウクライナへの核兵器の使用も危惧される中、「この根源的な脅威を世界から取り除くために、皆さまと協力できることに期待しています」と語った。

核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本事務局長の鈴木馨祐衆議院議員は、核軍縮には段階的なアプローチが必要だが、核のない世界の実現には、宗教者のネットワークを通じて核保有国の国民と連帯し、共に声を上げることも効果的と論じた。

共同通信社「メディア戦略情報」編集長の尾﨑元氏は、宗教者に対し、核廃絶を願う理由を明確にした「ポスト核時代のビジョン」の提示が求められていると指摘。ソーシャルメディアを軸に発信力を強化し、賛同者を得ていくことが重要と述べた。

この後、カトリックの光延一郎神父、天台宗の小林祖承総務部長、日本ムスリム協会の徳増公明前会長が、各宗教の立場から、核兵器廃絶への願いと行動についてそれぞれ発信した。