『これからの社会と宗教』をテーマに教団付置研究所懇話会 第20回年次大会
教団付置研究所懇話会の第20回年次大会 が10月17日、東京・港区の浄土宗大本山増上寺光摂殿で開催された。大会テーマは『これからの社会と宗教―SDGsの潮流の中で―』。オブザーバー参加を含め、25の研究機関から約100人が参加した。立正佼成会からは、西由江習学部次長(青年ネットワークグループ)、中央学術研究所学術研究室の西康友主幹らが出席した。
当日は、受け入れ教団として同寺の小澤憲珠89世法主、浄土宗総合研究所の今岡達雄所長があいさつ。続く記念対談では、『教団付置研究所懇話会の原点―これからの活動を考えるために―』と題し、大本教学研鑽所主幹の斉藤泰氏、浄土真宗本願寺派総合研究所元副所長の藤丸智雄氏、浄土宗総合研究所研究スタッフの武田道生氏が登壇し、同懇話会発足の経緯や研究交流、情報発信の成果など、20年に及ぶこれまでの足跡を振り返った。
午後には、大会テーマをもとに今岡所長が発題し、その後、曹洞宗総合研究センター常任研究員の宇野全智氏、西次長ら5人が発表に立った。
この中で今岡氏は、浄土宗のSDGs(持続可能な開発目標)への基本姿勢を説明。17の開発目標の中から「平和」「環境」「倫理」「教育」「人権」「福祉」の6領域について、諸活動を通じて課題解決に取り組んでいることを紹介した。また、宇野氏は、SDGsの取り組みは、曹洞宗の経典『修証義』に基づく菩薩行の実践と位置づけられると解説。「人はどう生きるべきか」という問いに対する答えが、取り組みを通じて、禅の生き方として実現されると語った。
一方、西次長は『SDGsを通した菩薩行~世界の苦を自分事にするチャレンジ~』と題し、本会の青年部活動に言及。毎年5月の第三日曜日を中心に実施する「青年の日」にSDGsの視点を取り入れ、全国の青年部員が清掃奉仕などの社会貢献活動を展開していることを紹介し、「SDGsの活動は、青年部員の内省の場であり、他者への貢献と自身の成長の両面を大事にした菩薩行」と説明した。
その上で、法華経の一乗精神とSDGsの「誰一人取り残さない」との理念は同根と述べ、SDGsを通して「一食(いちじき)を捧げる運動」をはじめ、「少欲知足」「縁起観」といった仏教的価値観を社会に発信していくことが今後の課題と語った。
このほか、ジェンダー平等や人権尊重に関する取り組みとして、今春から本会職員を対象に導入した「同性パートナーシップ規程」についても、その意義と内容を紹介した。