北海道支教区「高校生平和学習会」 いのちは等しく尊いものと自覚し
立正佼成会北海道支教区の「高校生平和学習会」が10月9日、オンラインで開催された。7教会の学生部員12人が参加した。
同学習会は、仏教の教えを学び、平和な心を培うとともに、いのちの尊さを認識し、平和の担い手としての自覚を深めることが目的。参加者は、9月19日にオンラインで行われた第1回平和学習会で「三法印」と「縁起観」、庭野日敬開祖の生涯を学び、平和や戦争について考える課題に取り組んだ上で、この日の学習会に臨んだ。
当日は、沖縄戦の体験者で沖縄県平和祈念資料館友の会の上原美智子副会長が講演した。上原氏は、第二次世界大戦のさなかにあった小学3年の時を振り返り、軍国教育の様子や沖縄戦での体験を披歴。授業中に突然、避難訓練の放送が流れ、クラスごとに設けられた防空壕(ごう)に逃れる練習をしたことや、徴兵を受けた父親が馬車に荷物を載せて戦場に向かう姿を見送った心情などを吐露した。
さらに、米軍機による空襲から逃れるため、母親と別れて幼いきょうだい4人でガマ(自然洞窟)に避難したが、生後間もない弟が泣きやまないことを同じ集落の住民からとがめられ、ガマを出て恐怖におびえながら窪地(くぼち)に身を潜めた体験を詳述。艦砲射撃が始まると知り、夜道を3日間かけて歩いて北部の山中まで逃げたことなどを語り、「戦争のことを少しでも思い出すだけで、今も震え上がるほど恐ろしい。戦争は人間の心を奪います。こうしたことは二度と若い皆さんには経験してほしくない」と訴えた。
この後、東日本教区の本村晃一青年教務員が『平和観――平和な世界を築くには』と題して研修した。この中で、庭野開祖の法話に触れ、平和には「外なる平和」と「内なる平和」があると紹介。「外なる平和」は国や世界における平和の形で、選挙などを通じて一人ひとりが平和の意思を反映させることが大切と述べた。
一方、「内なる平和」は、一人ひとりが平和な心を持つことと強調。庭野日鑛会長の法話を引用し、争いのもととなる怒りや憎しみといった感情は、自他の違いを比べて自分の優位性を主張することで生じると語った。その上で、それぞれのいのちは等しく尊いものであるとの自覚を持ち、互いの違いを認めて、一人ひとりに備わった能力を生かして人の役に立つ生き方が重要と述べた。
参加した室蘭教会学生部員(16)は、「平和に必要なのは、『我(が)を通さない』『自分と相手のいのちは対等で尊い』といった基礎的なことで、それを一人も欠けずに持たないと平和が成立しないところが、世界平和の実現の難しさだと感じました。また、自分と相手が等しく尊いいのちという言葉が心に染み、これからは周囲の人とのコミュニケーションを通して、自分を一つ上のランクに高める生き方をしていきたい」と語った。