学林本科59期 円覚寺で練成 禅の伝統をかみしめ

練成の冒頭には坐禅修行を体験。静寂の中、一人ひとりが自分の心を見つめ直した

立正佼成会学林本科59期の「他教団練成」が9月22日に行われ、杉野恭一学林学長、本科生ら7人が臨済宗円覚寺派大本山円覚寺(神奈川・鎌倉市)を訪問した。

同練成は、日本を代表する禅寺であり、世界に仏教文化を広めた先達を輩出してきた円覚寺の歴史に触れ、仏教実践者としての意識を高めることが目的。当日、一行は同寺信徒会館で坐禅修行を体験し、松原行樹教学部長の指南のもとで瞑想(めいそう)を行った。

次に、同寺教学部の蓮沼直應師が『鈴木大拙と円覚寺の禅』をテーマに講話。欧米に禅の思想を紹介した仏教学者の鈴木大拙は、仏教を理解するには「宗教体験」が必要だと訴えたが、その主張は、自身の円覚寺での参禅体験に基づいていたと解説した。また、同寺では明治時代から居士(在家の修行者)のための道場が開かれ、現代でも国内外から多くの人が参禅していることを紹介した。本科生らは、そうした「居士禅」の伝統を体感し、生活の全てが禅であるとの教えを学びながら、世界に広く仏教を伝えていくための見識を広げた。

続いて、臨済宗妙心寺派佛母寺住職で、現在は米国の大学で教壇に立つ松原正樹師が講演した。松原師は、日本の伝統仏教の特徴は「仏性思想」にあると明示。全ての人が潜在的に仏性を持ち、平等で尊厳のある存在とみなす考え方は、世界の人々にも通用する教えだと強調した。その上で、教えを日常生活に生かすためには、「和・敬・共感・つながり」の四点の価値観を意識し、互いの仏性を見つめ合いながらコミュニティーをつくることが重要と語った。

この後、一行は円覚寺の境内を見学し、臨済宗建長寺派大本山建長寺(鎌倉市)を参拝した。