英国のエリザベス二世女王が逝去(海外通信・バチカン支局)

「英国の母」と呼ばれたエリザベス二世女王が9月8日、96歳で永眠した。訃報に接したローマ教皇フランシスコは同日、チャールズ三世新国王宛てに弔電を送付。「英国国家とコモンウェルス(英連邦)の善に対する奉仕、責務遂行に関する献身の模範、キリストへの信仰とキリストの約束に対する確固たる希望を示した」と女王を称賛しながら、「心からの哀悼」を表明して「女王の永眠」を祈った。

エリザベス二世女王は1951年、王位継承者であった時にバチカンを訪問して教皇ピオ十二世に謁見(えっけん)して以来、61年にバチカンで教皇ヨハネ二十三世、80年、82年にバチカンと英国で教皇ヨハネ・パウロ二世、2010年には英国で教皇ベネディクト十六世、14年にはバチカンで教皇フランシスコと会見している。

英国国教会の最高指導者であるジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教も同日に声明文を発表。この中で、「皆が悲哀に服す中、愛する女王を失うことによって、私たちの国家、社会、世界の数十年にもわたる驚異的な変化を通して、彼女の忠誠、奉仕、謙遜が、私たちという存在に意義を与えてくださった」と女王を讃(たた)え、追悼した。

英国カトリック教会の最高指導者であるウェストミンスター大司教のヴィンセント・ニコルズ枢機卿も同日、声明文を公表し、「エリザベス女王が公式な場で発したメッセージの中で、たびたび、そして明確に宣言した(キリスト教)信仰は、私のみならず、多くの人々にとってもインスピレーションの源泉であった。彼女が、最も困難な時をも通して証していった叡智(えいち)、一貫性、奉仕は、彼女の信仰の輝く遺産と遺言であった」と記し、別れを惜しんだ。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)