〈ひと〉本会「モンゴル看護師育成支援プロジェクト」の留学生 ツェベルマー・ナランゾルさん(25)
モンゴルの医療と看護の発展に貢献することを目的とする「立正佼成会 モンゴル看護師育成支援プロジェクト」。その最後の留学生として来日していたナランゾルさん(25)が、6年半の学びを終えて今月に帰国する。
2015年に来日し、日本語の語学学校、佼成看護専門学校で学び、看護師国家試験に合格した。医療現場での実務経験を積むため、20年から佼成病院に勤務。病棟に配属された。ちょうどその頃、新型コロナウイルスの感染が拡大し、院内は感染患者への対応や感染対策などに追われた。緊迫する業務の中、先輩看護師とうまくコミュニケーションが取れず、新人で分からないことばかりのナランゾルさんは、仕事の足を引っ張らないかと不安だったという。
言葉の壁にもぶつかり、理解できていなかった専門的な医療用語はすぐに覚えるようにした。患者とうまく意思疎通が取れず、「この人に言っても伝わらない」と厳しい言葉を投げられたこともあったが、看護学校で学んだ患者に寄り添う大切さを思い起こした。「どうすれば患者に寄り添う看護ができるのか」と自分に問いかけながら触れ合いを重ねた。
「言葉だけでなく、相手の表情や普段の行動、声のトーンなどにも心を配り、患者の思いをくみ取ることが大事なのだと痛感しました」。やがて患者から、感謝の声かけや笑顔がもたらされるようになった。
モンゴルでの看護師の役割は、医師の医療行為の補助が優先されてしまうことが多い。それでも、ナランゾルさんは「日本で学んだことを生かし、患者さんの思いを受けとめて看護に臨みたいと思っています」と話す。さらに他の国の看護についても学び、「モンゴルの医療の発展に貢献したい」というのが願いだ。