全国の壮年部員がリモートで法座 コロナ禍の活動について率直に語り合う
昨年6月に行われた立正佼成会の「壮年(ダーナ)総会」の実行委員が中心となり、全国の壮年部員をリモートでつなぎ、思いを分かち合う新たな取り組みが始まっている。各教会では、コロナ禍の影響で活動の多くがオンライン化され、自由な時間に教えに触れられるようになったといった喜びの声が上がる一方、デジタル通信機器を持たない高齢層の会員の中には、サンガ(教えの仲間)の輪から取り残されたような寂しさを感じる人も少なくない。こうした各教会の実情を共有しながら、全ての人が「大事にされている」と思える活動のあり方を率直に語り合い、模索していくことがねらいだ。
これまでに文京、佐渡、新潟、春日部、湘南の各教会の壮年部とコラボレートして、ウェブ会議システムを使った法座や懇親会が実施されてきた。1月23日には、昨年の壮年総会で副議長を務め、この取り組みの中心を担う鰍沢教会壮年部庶務(50)がホスト役を担当し、オンライン法座を開催。同教会をはじめ、釧路、平、新潟、大船、湘南、大和、文京、大月の9教会の壮年部員15人が、教会や自宅などそれぞれの場所からリモートで集まった。
当日は、総会の議長を務めた文京教会壮年部長(58)が、この取り組みの経緯や願いを説明。「壮年総会を通過点として縁をつないでいき、これからの活動のあり方や信仰の意義を分かち合いたい」と語った。
参加者の自己紹介からスタートした法座では、冒頭から、教会活動のオンライン化に対する賛否が活発に語られた。一昨年の自粛直後から壮年部の夜間法座をリモートに切り替え、「語ろう会」と称したオンライン交流を続けていると報告したのは、湘南教会壮年部長(57)。今年1月で45回目の開催となり、壮年部員の間で着実に定着してきたと話した。
これに対し、平教会壮年部長(67)は、仕事などでパソコンやスマートフォンを使う若手壮年と、デジタルに不慣れなシニア世代との間に、「オンライン格差」が生じていると率直な思いを吐露。今年からご命日式典の際、教会ご宝前のお役者が、自宅のご宝前からリモートでつながり、ご供養するという試みが始まるが、「部員の中にはオンラインを使ってまでやる必要があるのかという意見もあり、なかなか皆で心を一つにすることが難しい」と現状を打ち明けた。
オンライン格差を乗り越えた先に
こうした「オンライン格差」を懸念するあまり、「最初は一歩も踏み出せなかった」と話したのは、大和教会壮年部長(64)。昨年、一人の部員から「うちの教会はなんもやんねぇんだな」と言われ、「尻込みして何もしないことに初めて危機感を覚えた」と話す。一念発起してウェブ会議システムの操作方法を学び、今年アカウントを教団本部に申請した。「格差は確かにあるけど、教えに触れる機会を待っている人を放っておいては駄目だと痛感しました。みんなでできるようになることを目標に、まずは支部部長会議から始めていきたい。そこに新しい縁が必ず広がっていくと信じています」と同壮年部長は語った。
また、教会に集えなくなった状況を、新たな出会いの機会に転換しているという声も上がった。大船教会支部壮年部長(55)は、コロナ禍以前は教会に行く人と行かない人とで線引きがあったが、“コロナ自粛”で皆が「行けない」状況になり、「教会に誘わなくていい今こそ、手どりのチャンスなのでは」と考えを切り替えたという。以前は行事の連絡などが多く、仕事の忙しい部員には声をかけづらかったが、今は趣味のバイクの話で盛り上がり、一緒にツーリングに行くなど、「意外なところでつながれるようになった」と報告した。
他にも、自身がパソコンが苦手な分、子供や孫と接点が増えたという喜びの声や、SNSの「既読」を付けるという機能が「返事をもらえた」という安心感になっているといった意見も聞かれた。
今回ホスト役を務めた鰍沢教会壮年部庶務は、「コロナが収束してもオンラインとの関係は切れないと思います。これからもオンライン法座を通じて全国の仲間と情報や思いを分かち合いながら、それぞれの教会の実情に合った活動の形を探して挑戦していきたい」と語った。
次回は釧路教会壮年部長(56)をホストにオンライン法座が開催される予定だ。