庭野会長 「朔日参り(布薩の日)」式典で法話 物事に日々真剣に向き合う心を

庭野会長は、松尾芭蕉が一句一句に魂を込めたことを紹介し、物事を真剣に行う大切さを説いた

11月1日、立正佼成会の「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」式典が東京・杉並区の大聖堂で行われ、庭野日鑛会長が法話を述べた。式典の模様はインターネットで会員にライブ配信された。

式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われた後、須田益朗佼成病院事務部長が体験説法を行った。

須田部長は冒頭、新型コロナウイルスの感染拡大にあたり、全国の教会や会員から医療用マスク、応援メッセージなど、物心両面の温かい支援が同病院に寄せられたことに謝意を表した。

続けて、自身の信仰体験を発表。高校3年生の時、青梅練成会に参加して、「縁起観」の研修と唱題修行、励ましの電報披露に感動し、帰宅後、両親にそれまでの感謝を伝えられたことを述懐した。また、その後、信頼を寄せていた父の勧めで本部に入職し、役に励んだことを語った。

その上で、両親の信仰歴を詳述。父親も母親も若い頃に病を患い、死を覚悟する中で法縁に結ばれ、回復後は教え一筋に生きた人生を語り、二人の姿を胸に今後も真剣に精進することを誓った。

法話に立った庭野会長は、須田部長の父・精之助氏(元東北布教区長、元教団理事)の思い出を紹介。俳句に造詣が深く、口数は多くなかったが、言葉を大事にして一語一語しっかりと話していた姿や、病に苦しみ、教えによって救われた体験を踏まえ、真剣に布教に励んだ様子を振り返った。

また、庭野会長自身が一度だけ作った俳句として、愛媛・松山市の道後温泉で詠んだ「名月や 人力車にて 眺めけり」という句を披露。推敲(すいこう)する中で、文字を一つ変えただけで句の印象が全く変わり、味わいが出たことなど、創作時のエピソードを明かした。

さらに、江戸時代の俳人である松尾芭蕉は、「われ生涯いいすてし句々、一句として辞世ならざるはなし」と語り、一句一句を辞世の句の思いで、魂を込めて作ったことに言及。「私たちも日頃の生活の中で、真剣に一つ一つの物事を行っていく。そうした気持ちは、芭蕉の句からも学んでいかなければならない」と述べた。