混迷深めるアフガニスタン情勢 本会一食平和基金が教育支援に200万円拠出 アフガン人受け入れ要請に賛同

政変以降、人道危機が深刻化するアフガニスタンで、戦闘によって親を亡くした子供たちに安心できる居場所を提供する ©平和村ユナイテッド

アフガニスタンでは今年8月の政変以降、社会の混乱が続き、経済悪化や暴力の横行など人道危機が深刻化している。これを受け、立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、戦闘によって親を亡くした子供たちを救援するため、現地で教育支援などを行う一般社団法人「平和村ユナイテッド」への200万円の寄託を決定した。また、先ごろ、同国で人道支援を行うNGOなど4団体から日本政府に対し、「退避を求めるアフガニスタン人受け入れに関する要請書」が提出された。発起団体からの呼びかけに応え、本会も賛同の意を表明し、協力する姿勢を示した。

アフガニスタンでは今年8月、米軍の完全撤退が進む中、極めて保守的なイスラーム主義を掲げる勢力「タリバン」が攻勢を強め、首都カブールを制圧。「アフガニスタン・イスラーム首長国」の樹立を宣言し、2001年以来、再び権力を掌握した。女性の就労や教育への制限が懸念され、現政権への抵抗勢力や「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織による攻撃も続いている。

こうした混乱に加えて、経済の悪化、干ばつが原因の食料不足などによる人道危機が深刻化。国連世界食糧計画(国連WFP)によれば、現金の不足や物価の高騰などで貧困状態が悪化し、国民の95%が十分な栄養が取れず飢餓に直面しているという。

また、ユニセフは今年末までに5歳未満の子供320万人が急性栄養不良に陥る恐れがあると警告。さらに、父親が戦闘員として家を出ているケースも含めて戦闘で身寄りを亡くした子供たちは、親や親戚が殺害されたり、友人が性的暴行を受けたりする場面を目の当たりにしている場合があり、精神的なケアも急務となっている。

本会は2005年から「親子で取り組むゆめポッケ」の活動を通して、紛争や対立で傷ついた同国の子供たちにゆめポッケを届けてきた。政変に伴う、そうした子供たちへの影響も危惧される。

今後は、生活再建とともにカウンセリングなどの精神的なサポートが必要になるため、一食平和基金運営委は「平和村ユナイテッド」に支援金200万円の拠出を決定。同団体は、東部ナンガルハル州パチラガム郡で、戦闘で親を亡くした子供たち150人を対象に、食料購入のための現金支給をはじめ、ピースセンターを運営して子供たちに安心できる居場所を提供し、精神的サポートを行う予定だ。

現在、同国全土がタリバンの支配下に入り、戦闘自体は収束しているが、これまで日本の政府機関や民間団体に協力してきたアフガニスタン人の中には、タリバンによる報復を恐れ、国外退避を希望する声が上がっている。日本政府も救援機を派遣して支援しているものの、その対象は大使館関係者とその家族が主で、民間で雇用されていた人には家族の帯同が認められず、搭乗の申請を諦める人もいるという。

今後、同国から逃れてくる人々を日本国内で受け入れるには、住居や就労、福祉などさまざまなサポートが必要になるため、政府と市民社会が連携して支援する体制が求められる。こうした状況を受け、先ごろ、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会、NPO法人パスウェイズ・ジャパンなど国内のNGO4団体が中心となり、日本政府に対して「退避を求めるアフガニスタン人受け入れに関する要請書」を提出。発起団体の中には、一食平和基金のパートナー団体や、本会と共にシリア難民の支援にあたる団体もあることから、本会もこの要請書への賛同を表明。今後の情勢を見ながら、発起団体や賛同団体と協力して支援の方法を模索していく。