SDGsの現状を視覚的に 国連広報センターが18項目に関する情報をイラストなどで分かりやすく紹介
国連広報センターがこのほど、「持続可能な開発目標(SDGs)報告 2021:インフォグラフィックスでみる17の目標ごとの進捗状況」(日本語版)を同ウェブサイトに公開した。17の目標に、「誰一人取り残さない」を加えた18項目に関する情報を、イラストや図などを用いて視覚的に表現したインフォグラフィックスで分かりやすく紹介。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が各目標の達成への歩みに与えた影響を最新のデータを交えて伝えている。
公開された情報によると、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による影響が大きかった。停滞を余儀なくされた目標が多く、貧困や飢餓の状況は悪化した。
コロナ禍の影響により昨年は、世界で新たに1億1900万~1億2400万人が極度の貧困に追いやられ、「極度の貧困がこの数十年で初めて増加」に転じた。国連は、このままでは2030年に目標に達しないと指摘している。
世界の飢餓もパンデミックで悪化。新たに7000万~1億1600万人が飢餓を経験した可能性があるとされる。
教育分野に関しては、「この20年間の前進が帳消し」になったと報告された。雇用状況についても、2億5500万人のフルタイム雇用に相当する仕事が奪われた。これは、2007~09年までの世界金融危機時の約4倍の被害になるとのことだ。所得の不平等縮小における前進が帳消しになるとも伝えている。
「誰一人取り残さない」に関しては、コロナ禍で保健分野の不平等が拡大。ワクチンの分配状況では、欧米諸国が100人当たり68回の接種がある一方、サハラ以南のアフリカでは100人当たり2回未満にとどまっているのが現状だ。
このほか、公開されたデータからは、地球環境保護に関する進捗(しんちょく)状況も知ることができる。
国連広報センターでは、「SDGsに関する国連の報告としては、最も包括的で視覚的に分かりやすい資料の一つ」として、それぞれの取り組みに活用してほしいと呼びかけている。ページ下部には印刷用PDFへのリンクも用意されている。