WCRP日本委 災害時支援を考える学習会 社会的に弱い立場の人に寄り添うために

基調発題を行う東氏

『コロナ禍における宗教者による災害の備え「特別な配慮が必要とされる人々」への支援』をテーマに世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会災害対応タスクフォースの学習会が6月15日、オンラインで行われた。協力する教団の信徒や市民ら120人が参加した。

同学習会は、新型コロナウイルス感染症の流行を災害と捉え、社会的に弱い立場にある人や配慮が必要な人への支援のあり方を考えるために開かれた。当日は、「被災地障害者センターくまもと」の東俊裕事務局長(熊本学園大学教授)が『“災害弱者”への支援の壁』と題して基調発題を行った。

東氏は、感染防止のため「人流」や接触を抑制する措置が取られ、医療や福祉、介護などの支援サービスが休止、削減されている現状を説明。サービスを利用する障がい者にも精神的・経済的な影響が出ている可能性が高いものの、震災や水害などと違い、コロナ禍の被害は見えづらく、「支援のニーズを把握することが難しい」と述べた。

また、コロナ禍の中、人工呼吸器などの医療資源の配分をめぐって優先順位が議論されているが、重度障がい者が使用している医療機器が他の患者に提供される懸念があると表明。日本が批准する障害者権利条約には「障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる」(11条)と定められており、その遵守(じゅんしゅ)が求められると語った。

続いて、多機能事業所「ワークセンター麦」(福島・須賀川市)の伊藤久美子園長が、東日本大震災、令和元年東日本台風による施設の被害状況や、利用者への影響などを説明。カトリックアトンメントのフランシスコ会の小林恵太修道士は、自身も参加するNPO法人「川崎水曜パトロールの会」の活動現場から、路上生活者の状況を報告した。

小林氏は、各支援団体による炊き出しの中止、漫画喫茶やファミリーレストランなどの営業時間の短縮で、食べ物に困り、体を休める居場所を失った人が増えていると説明。また、多くの路上生活者が、アルミ缶などの資源を集めて収入を得ているが、コロナ禍で経済的に困窮した人々も資源を集め始め、路上生活者は収入が減り、さらに厳しい状況にあると語った。

この後、基調発題や発表を受けて善隣教の力久道臣教主、解脱会の舘野庸子青年本部事務局次長、真宗大谷派護法山浄玄寺の吉尾天声住職(臨床宗教師)が、宗教者の役割などについて考えを述べた。