庭野会長 「朔日参り(布薩の日)」式典で法話 日々「徳性」を養い

庭野会長は、人が人間らしく生きていくための「徳性」の大切さに触れ、仏性を磨くように促した

6月1日、立正佼成会の「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」式典が大聖堂(東京・杉並区)で行われ、庭野日鑛会長が法話を述べた。式典の模様はインターネットの動画共有サイトを使って、会員に向けてライブ配信された。

式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われた。続いて柳田季巳江総務部次長(渉外グループ)が体験説法に立った。

柳田次長は、子供の頃に母親が佼成会に入会し、それからの家庭の様子を紹介しながら、自らは高校卒業後に親元を離れて自由になりたいとの思いで学林女子専修科(当時)に入林したことを述懐。集団生活は、期待とは正反対だったものの、学林講師の指導や同期生との触れ合いを通して、自身の自己中心的な考え方に気づき、「人は一人では生きていけないのだ」と感じて、両親をはじめ周囲の支えに感謝できた体験を発表した。

また、本部入職後、所属教会でサンガ(教えの仲間)と共に導きに励む中で、「仏さまとのご縁を」と願って布教する支部長の慈悲心に触れて学びを深め、信仰を大切にした母親と心を通わせることができた功徳を報告。母親は他界したが、その信仰が家族を結びつけていると語った。

この後、庭野会長が法話を述べた。庭野会長は、「天地(あめつち)の始(はじめ)は今日を始とする理(ことわり)あり」という言葉を紹介しながら、一日一日を宇宙の開闢(かいびゃく)という新鮮な気持ちで過ごす大切さを強調。法華経には、この現実世界は常に本仏が説法している尊い世界と示されていることにも触れ、「娑婆即寂光土(しゃばそくじゃっこうど)」との思いで、日々精進することが大事と述べた。

さらに、人間が鳥や獣(けもの)と違う点は極めてわずかであるものの、人間として最も大事な本質は「徳性」と説いた孟子(紀元前4世紀、中国戦国時代の儒学者)の言葉を紹介。「徳性」とは、心の明るさ、清らかさ、人を愛し、助け、人に尽くす心、恩を知る、正直、勇気、忍耐といった心の働きのことで、徳性を養い、仏性を磨くことが人間らしく生きる基と示した。

また、法華経にある「今此(こ)の三界は 皆是(こ)れ我が有(う)なり」という一節を引用。世界の山川草木(さんせんそうもく)全てが仏の体、仏のいのちであるとし、「仏とは、大自然のいのち、天地のいのちであり、いのちの現れが、山川草木」と説明した。その上で、それぞれのいのちは自分で生きているようでいて、実は天地宇宙から生かされ、仏のいのちを今、生きていると明示し、「深い意味のいのちというものを受け取り、そうしたことをまだ受け取ることができていない方々に、そのことをお伝えして、希望を持って人生を生きていけるように」と述べ、布教伝道の意義を説いた。