WCRP日本委「平和大学講座」 一人ひとりが社会の中で「つながりあう“いのち”」自覚し、慈しみの行動を

世界平和の実現に向け、女性特有の慈しみの心と行動の重要性を説く堀内氏

『つながりあう“いのち”とその未来のために――女性宗教者に期待するもの』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の「平和大学講座」が3月9日、オンラインで行われた。加盟教団の信徒ら125人が視聴した。

講座では、植松誠理事長(日本聖公会主教)の開会あいさつに続き、天理大学おやさと研究所主任・教授の堀内みどり氏が基調発題を行った。

この中で堀内氏は、一昨年8月に行われた第10回WCRP/RfP世界大会のテーマ『慈しみの実践:共通の未来のために――つながりあういのち』に言及。「慈しみ」は地球上の全てのいのちに注がれるべきものであるとし、いのちを育む女性ならではの慈しみの心と行動が、世界の平和に不可欠と述べた。

また、1970年代に北インドで始まった、森林保全の「チプコ運動」を説明。森林破壊に対して、女性たちが木に抱きついて抗議の意思を示したエピソードを紹介し、女性たちが守ったのは環境だけでなく、未来へと続く「いのち」であると語った。

その上で、男女それぞれの特性を尊び、生かし合っていく大切さを強調。それが自他の存在に敬意と感謝の思いを持ち、助け合う生活へと導くことにもなると述べた。さらに、一人ひとりが「つながりあう“いのち”」と自覚し、社会の中で人のために慈しみの行動を起こすことが、「未来への希望につながっていく」と訴えた。

パネルディスカッションでは、さまざまな立場から女性宗教者の役割について語られた

この後、WCRP/RfP日本委の松井ケティ平和研究所所員(清泉女子大学教授)、山本俊正理事(元関西学院大学教授)、河田尚子女性部会事務局長(アル・アマーナ代表)によるパネルディスカッションが行われた。山崎龍明平和研究所所長(武蔵野大学名誉教授)が進行役を務めた。

この中で、松井氏は第10回世界大会での女性宗教者の活躍について、山本氏は保育や看護、介護といった「ケア労働」に従事する女性の現状について、河田氏はイスラームでの女性宗教者の立場について、それぞれ解説した。