「調停に乗り出すWCRPミャンマー委員会」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

調停に乗り出すWCRPミャンマー委員会

ミャンマーでは、2月1日にクーデターを起こした国軍が全権を掌握し、民主化を求める国民の激しい抗議活動に対する弾圧を強めている。23日現在、治安部隊による武力行使で市民4人が死亡、600人以上が逮捕されている。

こうした状況を受け、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)ミャンマー委員会は21日、「ミャンマーは、全ての関係者が対話のために出会い、集うことのできる開かれた国である。私たちは、和平と和解を求める諮問フォーラムとしての役割を継続していく」とする声明文を公表し、軍部と市民の間の調停役を果たしていく意向を明らかにした。ローマ教皇庁外国宣教事業部の国際通信社「フィデス」が23日、『ミャンマーの諸宗教指導者が調停役を名乗り出る ASEANの介入を要請』という見出しで報じた。諮問フォーラムの開催は「対話が成り立つことが最低限の条件」としているが、実現の際には同ミャンマー委員会顧問のチャールズ・ボー枢機卿(カトリック・ヤンゴン大司教)が議長を務める予定だ。

また、声明文は同ミャンマー委員会、同国際委員会などがミャンマーで起きている状況に深い憂慮を示していることに触れ、同国内で展開されている「悲劇的な事態が緩和していくように願う」と訴えた。さらに、「ミャンマーではこの1カ月間に多量の血が流れた。この間、WCRP/RfPは命の尊さを追求していくミャンマー国民の側に立ってきた」と主張し、無実の人々が傷つけられる状況があってはならないと厳しく非難している。

同ミャンマー委員会は、昨年11月に行われた総選挙の結果を疑問視する動きと軍部によるクーデターが国家の分裂を招いたと指摘。長期間にわたる政治的な混乱は、暴力ではなく、対話を通して解決されると強調した。同国の仏教組織「サンガ・マハ・ナヤカ委員会」(通称マハナ)、カトリック司教会議と協力するとし、国軍が交渉のテーブルに着いて、対話の場を構築することで問題に対処し、和解を実現していくと訴えている。

さらに、東南アジアの平和と安定、発展と繁栄のために協力する東南アジア諸国連合(ASEAN)に対するメッセージを声明文に掲載。ASEAN憲章が民主主義、法の支配、人権尊重などを定めていることを挙げ、「早急に、少数民族を含めた全てのミャンマー国民に対するサポートを強化していくことを願う」と訴え、ASEANによる介入を要請している。

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