一食地域貢献緊急支援プロジェクト 福岡教会が地元NPO法人に協力 困窮家庭の子の食を支援

子ども食堂では、ボランティアが食事作りや学習支援を担う(写真はいずれも北九州支教区提供)

コロナ禍で積極的に行動

新型コロナウイルスの感染拡大で、収入減や失業に追い込まれる人が増えている。加えて、学校の休校措置による給食の中止などが要因で、経済的に厳しい家庭の子供たちの栄養状態が危惧されている。こうした社会状況を受け、立正佼成会一食(いちじき)平和基金は6月から、新型コロナウイルス被害への対策として「一食地域貢献緊急支援プロジェクト」を実施。全国の各教会が地元の福祉団体やNPO法人などへの支援を行っている。

福岡教会では、青年部で構成する「一食地域貢献プロジェクト委員会」が中心となって支援を検討。福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」の協力を得て、子供の福祉事業を担う諸団体の中から、子ども食堂や児童クラブなどを開くNPO法人「山王学舎」を候補に選んだ。

9月上旬、委員会のメンバーである同教会青年部副部長(45)が山王学舎を訪問。成田鐘哲代表理事に面会し、活動内容の聞き取りを行った。同団体は「緊急事態宣言」明けの5月半ばから弁当を配布し、活動を再開。6月からは月2回、感染予防を施した上で子ども食堂をオープンしている。

コロナ禍の中でも子供たちが安心して暮らせるようにと願い、成田代表理事(右)に支援金(目録)を手渡す同副部長

同副部長は聞き取りの後、自らエプロンをつけて調理や配膳を手伝い、子供たちと触れ合った。その体験を委員会のリモート会議で報告。メンバー全員の賛同を得て、山王学舎への支援を決めた。

山王学舎は、同市の社会福祉協議会から「子ども食堂に直接行けない家庭に、弁当や食品食料を配布する役割を新たに担って頂けないか」と依頼されていた。新しい事業を始めるには資金が必要なため悩んでいたという。成田氏は「福岡教会さんから支援のお話があり、チャンスを頂いたと思った」と話す。

橋渡し役を担った同副部長は、「コロナの影響で困っている人、苦しんでいる人のお役に立ちたいという私たちの願いを実現してくださる団体と出会えたことに、仏さまの後押しを感じました」と振り返る。

支援金の贈呈は9月26日、山王学舎の事務所前で行われた。子ども食堂の開催日でもあり、多くの子供や保護者でにぎわう中、委員会を代表して同副部長が成田氏に目録を手渡した。成田氏は本会が取り組む「一食を捧げる運動」の精神や活動に共感し、「しっかり思いをくんで地域での活動を継続していきたい」と話した。

同副部長は、「金銭的な支援だけでなく人的支援も含めて共に人さまのために活動していきたい。コロナ禍が明けたら子ども食堂に来ている子供たちを教会に招待し、少年部との交流や鼓笛隊の体験入隊なども行いたい」と意気込みを語った。