「一食地域貢献緊急支援プロジェクト」 コロナ禍の対策として始動 各教会が地元の団体をサポート

新型コロナウイルスの影響で働けなくなった外国人に対し、毎日、日本語教室を開催している(写真=ふじみの国際交流センター提供)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、国内で感染拡大が続く新型コロナウイルスの被害への緊急対策として「一食地域貢献緊急支援プロジェクト」をスタートした。

各教会がコロナ禍でさまざまな取り組みを行う地元の団体を支援し、地域に貢献するもの。最初の申請期限となった7月10日までに10教会から同委員会に申請が寄せられ、各地域で活動するNPO法人など15団体に資金が助成された。11月10日まで申請を受け付ける予定だ。

7月はフリースクールや無料塾、子ども食堂など15団体を助成

国内では4月7日に、7都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)に対し「緊急事態宣言」が発令され、16日には全国に適用された。5月25日に全面解除となったが、経済活動の停止によって収入減や失業に見舞われた人が増え、もともと厳しい生活を送っていた非正規労働者や生活困窮者、またその家庭の子供たちがさらに苦しい状況に置かれている。

こうした現状を受け、同基金は今回のプロジェクトをスタートさせ、最大で1億2300万円の予算を計上した。10教会から申請があり、就学が困難な子供たちを支援するフリースクールや無料塾、食事や生活をサポートする子ども食堂など15団体に支援がなされた。

この中で、川越教会は、日本に住む外国人を対象に無料で生活相談や多言語での情報提供、日本語指導などを行うNPO法人「ふじみの国際交流センター」を支援した。先の緊急事態宣言は日本で働く外国人にも大きな影響を与え、解雇や収入減で生活が困難になるケースが急増。さらに国際線の運航中止によって観光ビザを延長しながら滞在している人もいる。同センターでは保障制度や給付金の説明、書類の書き方、役所への同行などの支援を一人ひとりに行っている。飛沫(ひまつ)防止シートや換気などの対策をしながら、働けなくなった外国人向けに日本語教室や生活相談会も毎日開催している。

石井ナナヱ理事長は「社会全体が混乱している今、外国人へのサポートは後回しにされがち。佼成会の皆さまが彼らの状況を理解して支援してくださることが、どれだけ励みになるか分かりません。私たちスタッフにとっても活動を続ける勇気になります」と話した。

杉並教会が支援する「リベルタこども食堂」では、学校の一斉休校措置が取られた3月から弁当のテイクアウトを開始。コロナ禍でのニーズの高まりに応じて提供の回数や個数を増やし、現在は1回に70食を用意して月に3~4回、経済的な理由や家庭の事情で栄養のある食事を取ることができない子供、その家族に提供している。また、ひとり親世帯や福島から避難している世帯への食材配布も開始した。

福田恵美代表は、「週1回のお弁当を『楽しみにしている』『ホッとする』といった声を聞き、活動の必要性を感じています。一方で、全国の子ども食堂の大半が、感染防止のために会場を使用できないなどの理由で活動を中止せざるを得ない状況です。今回、このような形で初めて支援して頂けたことは有り難く、たくさんの支えで活動できていることを実感しています」と話した。

萩教会が支援するのは、不登校の子供や引きこもり状態にある若者を支援するNPO法人「町・人・夢づくりのみち草舎」。感染予防に努めながら、週3日、民家の2階を開放して、当事者が通える居場所づくりを続けている。また、地元企業からマスク製作を依頼されたのを機に、若者たちが手作りしたマスクの販売も始めた。

「連日の新型コロナウイルスの報道で、家にずっといると心が不安定になるという方もいました。そうした中、皆でマスク作りに挑戦し、社会の役に立ったという経験は、彼らの大きな自信になったようです。支援金は皆が使っている部屋の環境整備に使わせて頂きたいと思っています」と西中浪江代表理事は語った。

「一食を捧げる運動」ウェブサイト https://ichijiki.org/