新型コロナウイルスと最前線で闘う医療従事者へ 佼成病院に医療用マスク2万2650枚

佼成病院2階のスタッフ専用エリアには、各教会から寄せられた手紙や折り鶴が掲示されている

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「発熱外来」を設置して感染者(軽症~中等症)の治療を行っている立正佼成会附属佼成病院(東京・杉並区)に、全国各教会からウイルスの吸入を防ぐN95マスクなどの医療用マスクが寄せられた。

その数は2万2650枚。提供されたマスクには、メッセージが添えられており、現在、佼成病院2階のスタッフ専用エリアの壁に掲示されている。また、市川教会青年部では、佼成病院の関係者への思いを言葉にした動画を制作し、届けた。佼成病院には全国の会員からエールや感謝の思いが送り続けられている。

各教会から心のこもった支援

佼成病院へのマスク支援の取り組みが各教会で始まったのは4月初旬だった。同病院はこの頃、東京都の感染症診療協力医療機関に登録し、杉並区の要請に応じて発熱外来を開設。感染症指定医療機関ではないため重症者は受け入れられないものの、軽症から中等症の感染者の入院診療もスタートした。

一方、国内の医療機関ではマスク不足が深刻化。同病院でも備蓄していた医療用マスクは減り続け、入手の見通しも立たず、とりわけ感染を防ぐためのN95マスクの不足は大きな問題となっていた。

そのため、同病院と教団が毎月実施している定例会議の席上、甲能直幸病院長から教団に対して医療用マスクの支援が要請された。直ちに教団本部から各教会を通じて、会員にマスク提供の協力が呼び掛けられた。

最初に同病院に医療用マスクが届いたのは4月23日。職員がいくつもの段ボールを開けると、そのどれにも、医療用マスクとともに手紙や写真、折り鶴などが添えられてあった。手紙には、医療従事者への感謝やエールなど心温まる言葉がつづられていた。

全国の会員からの支援について語る佼成病院の須田事務部長

「『明けない夜はない』。その時を待ち、島根の出雲の地より祈り続けております」(松江教会会員)。「私達には新型コロナウイルスの一日も早い終息と医療に従事されている皆様方の健康を願うことしかできません。そのような思いを込めて千羽鶴を折らせて頂きました」(柏教会会員)。「伝染するのはウイルスだけじゃない! 『笑顔』『勇気』『愛』も伝染します。みなさん大変ですが、がんばってください」(十日町教会会員)。「命がけの献身ありがとうございます」(広島教会会員)。

それからは連日のように、マスクと手紙が届いた。5月末までに1万300枚のN95マスクと1万2350枚のサージカルマスクが寄せられ、十分な在庫が確保されたという。手紙は約640通に上った。

会員からの手紙や折り鶴などは全て、同病院2階の職員専用のエリアに掲示され、最前線で感染者の治療にあたる医療スタッフらの心の励みとなっている。その後、同病院では各教会や個人に感謝状を郵送し、心の交流が生まれている。

同病院の須田益朗事務部長は、「新型コロナウイルスの世界的な流行で、医療従事者への感染を防ぐマスクの確保が難しくなっていました。そうした中、全国の会員の皆さまからN95マスクをはじめ多くの医療用マスクをご提供頂きました。マスクとともに、手紙や折り鶴、お菓子なども贈ってくださいました。たくさんの真心を頂戴(ちょうだい)し、私たちはどれほど励まされたか分かりません。病院関係者を気遣ってくださった皆さまの心の温かさに感謝の思いでいっぱいです。エールに応えられるよう、全員で力を合わせて取り組んでいきます」と話している。

【次ページ:「守ってくれてありがとう」 市川教会会員が動画で応援】