「サンピエトロ広場が開放されてうれしい」とローマ教皇(海外通信・バチカン支局)

バチカン宮殿の窓から姿を現し、約2カ月ぶりに信徒と正午の祈りを行う教皇(5月31日、バチカンメディア提供)

3月10日から5月18日まで、新型コロナウイルスの感染予防対策として閉鎖されていたバチカンのサンピエトロ大聖堂で5月31日、聖職者や信徒が参加するミサがローマ教皇フランシスコの司式により執り行われた。ミサ後の正午の祈りでは、一般信徒がサンピエトロ広場に入り、教皇と共に祈りを捧げた。

このミサは、(父と子と聖霊という三位一体の一つである)聖霊降臨祭を祝うためのもので、当日は教皇が説教した。「聖霊の降臨によって使徒たちは、聖霊の一致に向けた力について知ることができた。聖霊は、相違のあるわれわれの間に一致と調和を築く」と語り、カトリック教会が調和、一致していくよう促した。

正午の祈りでは、バチカン宮殿の窓から姿を現し、「今日は広場が開放され、また戻ってくることができた。喜ばしいことだ!」と心中を明かした。

また、同ウイルスの感染が拡大しているアマゾン地域のカトリック教会と社会、特に、深刻な状態にある先住民のために祈りを捧げるよう呼び掛けるとともに、「世界の、より貧しく、より無防備な人々に対して医療支援を欠かさないように」と強調。「経済を重視して医療費を節約するようなことはせず、経済よりも重要な人間を治療するように」と話した。

ローマのあるラツィオ州は、屋外でのマスク着用を義務付けてはいない。しかし、サンピエトロ広場に参集した人々は、イタリア政府が定める規定に従い、マスクを着け、人と人との間隔を1メートル以上空けて教皇と共に祈った。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)

サンピエトロ広場に参集した信徒(バチカンメディア提供)