「ミャンマーの諸宗教者に選挙権を」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

インドネシアの諸宗教指導者 熱帯雨林の保全訴え

インドネシアの仏教、カトリック教会、儒教、ヒンドゥー教、プロテスタント教会、先住民コミュニティーの指導者9人はこのほど、同国の熱帯雨林を保全するため、「インドネシア諸宗教熱帯雨林イニシアチブ」を創設し、合同趣意書に署名した。アジアのカトリック国際通信社「UCAニュース」が2月4日に報じた。

「諸宗教熱帯雨林イニシアチブ」(IRI)は、道徳的・倫理的な観点から熱帯雨林の乱伐の停止と、その地で自然と共に生きてきた先住民の保護を目的に、2017年にノルウェー・オスロにあるノーベル平和センターで創設された。宗教者、先住民族、政府代表、市民団体の代表らと協働し、熱帯雨林を多く保有するブラジル、コロンビア、コンゴ(旧ザイール)、インドネシア、ペルーで活動を進めてきた。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)も協力している。

インドネシアの指導者は趣意書を通じて、数百万人の生活を支える同国の広大な熱帯雨林が、持続性を無視した経済政策によって破壊されていると警告。政府が許可しているものの、社会の持続可能性の観点からは疑問が残る「広範囲の熱帯雨林を切り開いての栽培事業、採鉱事業、インフラ建設、さらに不法な伐採が環境を汚染し、生物多様性を喪失させている」と訴えた。

さらに、熱帯雨林の破壊は人々の生活環境を悪化させるだけでなく、格差を広げ、紛争を生じさせ、深刻な人権侵害を起こしていると指摘。熱帯雨林の保全のため、それぞれの宗教コミュニティーのメンバーを総動員して、政府をはじめ経済界、社会活動家、国連関係者に働き掛け、協力関係を築く」との方針を示し、「熱帯雨林の保全と、その必要性に関する人々の意識を高めるため、定期的なプログラムを展開していく」意向を表明している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)