本会一食平和基金 令和2年度運営計画 国内外の事業に3億2827万円

JENとの合同による「人道緊急・復興支援事業」の中で、昨年、災害や紛争に苦しむパキスタンの人々に援助物資が届けられた(写真提供=JEN)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、令和2年度の運営計画を発表した。今年度の予算は、総額3億2827万1000円。同委員会の中期運営方針(2018~23年)を基に、昨年度と同様に全10分野で事業を行う。

このうち、「貧困(飢餓)の解消」「教育・人材育成」を重点分野とした。このほか、要因が複雑化する国内外の諸課題に対応するため、NGOなど諸団体のより密接な連携を促す「ネットワークの強化」の費用が各分野の予算に組み込まれた。

本会一食平和基金は、会員が、厳しい状況下にいる世界の人々に思いを馳(は)せ、月に数回、食事を抜いて、その食費分を献金する「一食を捧げる運動」の浄財によって運営されている。同基金は、生きとし生けるもの全てが大いなる一つのいのちに生かされ、尊くかけがえのない存在であるとの仏教の「一乗精神」に基づく「共生の世界の実現」を目指しており、今年度もこれに沿って運営計画が検討された。

現在、世界では自国の利益のみを優先する自国第一主義が台頭し、対立が生じている。また、グローバル化により所得格差が拡大。政治的、経済的、さらに宗教など文化的な要因による人々の分断が深刻化している。加えて、大規模火災や大雨など地球温暖化による自然災害が各地で発生し、危機意識が高まっている。

海外の会員が自国の課題に対して行う「海外教会・拠点一食プロジェクト」。スリランカ教会は昨年、農村地域の貧困家庭の小学生に学用品を贈った(写真提供=同教会)

同運営委員会では、こうした現状と、国連が2030年までに世界全体で達成する目標と定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)を踏まえ、10分野の事業を決定。この中で今年度も重視した項目の一つは、SDGsでも最優先課題として掲げられている貧困と飢餓の問題だ。

同委では、地球上の全ての人が飢えから解放され、富や資源の不平等な分配をめぐる争いに巻き込まれないよう環境を整えることが持続可能な社会づくりに必要との観点から、「貧困(飢餓)の解消」に4944万円を充当した。この分野は、「アフリカへ毛布をおくる運動」で集められた毛布の輸送費の高騰を受けて、昨年より大幅に増額され、同運動や気候変動に順応できる農業を推進する「農業・環境・地域開発事業」など3事業を支援する。

また、貧困や差別の根本的な解消には、学校教育の充実、さらに文化や宗教の違いを受け入れ、相互理解と信頼醸成に寄与する人材の育成が欠かせないとされており、同委では、今年度も「教育・人材育成」を重点分野とした。

この分野では、「援助する」「援助される」という意識ではなく、全ての人が兄弟姉妹であるという自覚を深め、自らのライフスタイルも少欲知足で簡素に心がけていくことも願いとしている。このことから、「親子で取り組むゆめポッケ」を推進するのをはじめ、難民支援協会(JAR)と連携して日本にいる難民の命と人権を守る「国内難民支援事業」などの八つの活動に、6646万5000円の予算が充てられた。

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さらに、異常気象による災害や紛争による被害に備え、「緊急救援・復興支援」の分野には昨年に引き続き7900万円の予算を充てた。国内外の災害発生時には救援活動に当たるパートナー団体等に助成するほか、東日本大震災の復興に尽くす福島県のNPO法人などにも協力する。

このほか、本会の教会が各地域の諸課題の解決に取り組む団体を主体的に支援する「一食地域貢献プロジェクト」「海外教会・拠点一食プロジェクト」にも予算が充てられた。

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