宗教的智慧を各国代表に提言 「G20諸宗教フォーラム2019」光祥次代会長、川端理事長が参加

11日に京都府庁旧本館の旧議場で行われた「全体集会Ⅰ」

6月末に大阪市で開かれるG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)を前に、宗教者の視点から世界の諸課題を議論し、各国代表に提言する「G20諸宗教フォーラム2019」(主催・同フォーラム2019京都)が6月11、12の両日、京都市にある京都府庁旧本館の旧議場などで開催された。国内外の宗教者や研究者、NPO関係者など約120人が参加。立正佼成会から庭野光祥次代会長、川端健之理事長が出席した。

11日の開会式では、主催者を代表して真言宗御室派管長で同派総本山仁和寺の瀬川大秀門跡が歓迎のあいさつを述べた。「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)のファイサル・ムアンマル事務総長がスピーチ。宗教指導者は平和構築に向けてリーダーシップを発揮する必要があり、対話によって共有した宗教的智慧(ちえ)に基づく倫理と価値観を社会に提示して、より良い政治が行われるように働き掛けることができると詳述した。

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会のウィリアム・ベンドレイ事務総長が基調講演に立った。ベンドレイ氏は、同国際委によるミャンマーでの諸民族の融和や和解に向けた取り組みなどを紹介した。さらに、差別や対立を解消するため、諸宗教者は宗教的な観点から議論を重ねて政策を提言し、政府と協働して問題解決に取り組むことが大事と力説。「宗教者は、他者を赦(ゆる)す、慈悲心を持って相手と触れ合うといった宗教が持つ精神的美徳を示し、世界の安寧のために各国政府と連携しながら行動する必要がある」と話した。

この後、参加者は2日間にわたり『気候変動』『格差社会と貧困』など八つのテーマについて分科会を行った。

『少子高齢化問題』の分科会では、WCRP/RfP日本委員会の國富敬二事務局長、日本ムスリム協会理事の前野直樹師、日本の新宗教の研究者であるヒーサー・フミコ・ハインバック氏がパネリストとして出席。相愛大学教授で、浄土真宗本願寺派如来寺の釈徹宗住職がモデレーターを務めた。國富氏は、少子高齢化社会では出生率を上げる取り組みと併せて、高齢者が生きがいを持てる社会構造に転換していくことが重要と強調。NPO活動への参加を推奨するなど高齢者が活躍できる場を広げ、長寿を寿(ことほ)げる社会が求められると語った。

分科会を終えて参加者はフォーラムでの議論を踏まえ、さらに意見を交わした。席上、政策提言として日本政府に届けるためにまとめられた宣言文は、北法相宗音羽山清水寺(京都市)で行われた閉会式で発表された。