庭野平和財団 平成30年度公募助成先を発表 分断された社会の中の対話と協力に取り組む10団体を支援

公益財団法人・庭野平和財団はこのほど、平成30年度の公募助成先として、平和・共生社会の実現に取り組む10団体に計942万8900円(1ドル=108円換算)を支援すると発表した。

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これまで、活動助成は「宗教的精神に基づく社会・平和活動」と「地域で展開される草の根活動」を対象としてきた。今回は、「分断された社会の中の対話と協力」に絞り、公募した。

昨年9月15日から10月15日までの受け付け期間中、国内外から117件の申請があった。採択された10件は全て、海外で実施される事業。教育や人権擁護に関するものが多く、特に、過去に紛争が起きた国や紛争の発生が懸念される地域での青少年教育、諸宗教者による人権啓発の事業が複数採択された。

ペルーの2団体はいずれも、少年犯罪が横行する地域で教育支援に取り組む。このうち、「ロヨラ連合センター」は、2000年まで内戦状態にあったアヤクーチョ県のキリスト教徒らが平和の再建を目的に創設した団体。貧困、家庭の崩壊、暴力にさらされて非行に走り、ギャングに加わろうとしている青少年を支援し、更正を図る。助成を受ける事業では、青少年が学ぶ場をつくり、それぞれが抱える問題に寄り添うセラピーや自尊心を高めるトレーニング、奉仕活動を体験するプログラムを実施し、「総合的な人間形成」に取り組む。

また、「創造的な教育とアートのためのセンター『DOR』」が活動するセルビア・ボイボディナ州ノビ・サドでは、少年グループによる抗争や学校内での残酷ないじめ、暴行事件が相次ぎ、社会問題となっている。DORは、幼稚園児や小学生、保護者、教師を対象に、争いを回避する方法や非暴力の大切さを学ぶためのワークショップを行う。

一方、宗教対話によって差別や偏見をなくそうとする試みもある。インドネシアの「タヘタの希望財団」は、地域で権威のある宗教指導者が、HIV(エイズウイルス)感染者やエイズ患者に対する差別への対応を協議する場を設けるとともに、啓発のための公開ディスカッションやイベントを開催する。また、性的マイノリティーへの差別の問題に取り組むウガンダの「世界の愛の同盟」は、宗教指導者を対象にワークショップを実施し、ここでの議論を基に差別の解消に向けた提言をまとめる。