「終活」をテーマに 佼成霊園長・米多教郎氏

終活は自分の最期を考え、今を大事に生きるための営み

自分が死を迎えた後のことを書き記しておくことで、終活は、自分が見ることができない、自分の最期を知るための時間でもあります。「これだけは伝えてほしい。分かっていてもらいたい」ということを決めておくことで、これからも安心して生きていけるのです。

さらに、大事にして頂きたいのは、最期のときを家で迎えたいのか、病院を希望するのか、また治療に関して延命治療か緩和ケアの医療のどちらを望んでいるのかなど、伝えたいことを具体的に決めておくことです。それを書き記した上で、同居している家族だけでなく、別世帯で生活する子供たちにも全員がそろっている場面で公言することを勧めさせて頂いています。

どうしても、同居していた家族と遠方に住んでいた家族とでは、親の意をくむ際、温度差が生まれてしまいがちです。共通理解を図っておくのが、家族円満の秘訣(ひけつ)です。

そして最後に申し上げたいことがあります。皆さんが安心して楽しく生きていけるように、現在の人間関係を良好にしておくこと、これが一番大事だと私は思うのです。

(5月15日、立正佼成会江戸川教会で行われた社会福祉講演会から)

プロフィル

よねだ・のりお 立正佼成会に入職し、現在、東京・東大和市にある立正佼成会附属「佼成霊園」の霊園長を務める。終活カウンセラー上級インストラクター、墓地管理士の資格を有する。