立正佼成会 庭野日鑛会長 6月の法話から

画・茨木 祥之

今を懸命に生きる

他所(よそ)に行って帰ってくると、「ただいま(只今)」と言います。この「ただいま」がとても大切です。

例えば「明日」という字は言葉としてはあっても、実感がありません。「明日」になって目が覚めれば、もう「今日」「今」だからです。

ですから、「今日」「今」を大事にして、今、目の前の人を大事にする。今しなければならない仕事があれば、それを大事にする。こういうことが、人生では大切です。

過去のことを思い出して「どうだった」「こうだった」と考えるよりは、目の前のことをしっかりすることが大事であるというのが、「ただいま」という一言の中に込められています。そうしたことを心に留め、全ての人に感謝していくという基本的な姿勢ができたなら、後は何も考えないで、自分の置かれている所で、「ただいま」という念を入れて生きていく。これが大事です。

江戸時代の正受老人(道鏡慧端=どうきょうえたん)の言葉があります。

一大事と申すは、今日只今の心なり

まったくズバリであり、私たちが大事にしなければならないお言葉です。
(6月10日)