立正佼成会 庭野日鑛会長 11月の法話から

画・茨木 祥之

普回向に示された精神

私たちは、『経典』(青経巻)読誦(どくじゅ)の最後に、「願わくは此(こ)の功徳を以(もっ)て 普(あまね)く一切に及ぼし 我等(われら)と衆生と 皆共に佛道を成(じょう)ぜん」と、「普回向」を唱えます。この言葉は、法華経の菩薩道の精神を最も簡明に、簡潔に表したものです。

私たちは自分だけが仏さまの教えを頂いて幸せになればいいのではなく、その功徳を世のため、人のために積みなさいと教えて頂いています。そして、「願わくはこれによって、全ての衆生と共に仏になっていきましょう」という大きな願いを持って、精進しなさいということであります。

宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」という言葉は、「普回向」を現代的に言い直したものです。私たちはこうしたことを学ばせて頂き、世界の平和のために努力していかなければなりません。世界は今、難しい状態にありますが、皆さまと共に精進させて頂きたいと思います。
(11月15日)