立正佼成会 庭野日鑛会長 6月の法話から
6月に行われた大聖堂での式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋してまとめました。(文責在編集部)
親の恩に報いる術
私たちはなかなか親孝行ができないままに、親と別れてしまうことが多くあります。そうした心を詠んだ和歌を紹介します。
大方(おおかた)の 若きむすこの するごとき 不孝をしつつ 父に別れぬ
こういう歌を読みますと、本当に不孝をしつつ別れたな、という思いが込み上げてきます。それから、もう一つ、次のような俳句があります。
亡き父の 背をながすごと 墓洗う
お墓参りをした時、父親の背を流すような気持ちで、お墓をきれいにしている様子が、よく表れています。親不孝をしてしまいがちな私たちですが、親の恩に報いていくには、菩薩道を通して、人間としての道を歩んでいくことが本当の意味の親孝行になります。そうした気持ちを大切にして、修行させて頂きたいと思うのです。
(6月1日)
今居るところが“道場”
至道無難(しどうぶなん)という方の歌がございます。
道という 言葉に迷う ことなかれ 朝夕おのが なす業(わざ)としれ
私たちは仏道を歩んでいるのだから、素晴らしいことをしていると思いがちです。しかし、そんな言葉に迷ってはならないということです。
朝夕、一日の中で自分がどんなことをしているかと、行いを問うてみる。私たちが仏道を歩んでいるかは、朝夕の自分の行いを見てみれば分かることです。
私たちは、経典の最初にある「道場観」をまず読誦(どくじゅ)します。そこでは、居るところ、住むところがすなわち道場である、修行の場であると教えられています。そうしたことをしっかり肝に銘じ、大聖堂や教会だけでなく、いつも自分が居るところが道場であると思って、精進させて頂きたいものです。
(6月4日)