立正佼成会 庭野日鑛会長 11月の法話から
感謝の本質
商売をしている方であれば、売り上げが上がると感謝をしますが、下がると文句を言いがちです。しかし、売り上げが上がっても、下がっても、感謝をしていくのが、仏さまが教えられた感謝です。ですから、売り上げに左右されず、感謝を忘れないでいると、やがて神さま、仏さまが、「この人間は、いつも感謝しているな」ということで、応援をしてくださるということです。売り上げに文句を言ったりせずに、ずっと感謝し続けていくことが、本質的な感謝であります。
これは、口で言うのは易(やさ)しく、実行するのはとても難しいことですが、こうした本当の意味の感謝をさせて頂くことが、仏教――仏さまの教えだと、私は受け取らせて頂いています。
(11月1日)
世界最高の不思議
信仰に熱心に励んでいると、奇跡的なことが起こったという話もあります。それも不思議なことに違いありませんが、私たちが人間としていのちを頂いて、今、ここにいるということが、とても不思議なことです。これが、世の中の最高の不思議ではないかと思います。
(11月10日)
あらゆるものの美しさに気づく
仏さまの教えの中に、「一切衆生悉有仏性」というものがあります。この読み方にはいろいろあり、「悉有は仏性なり」となると「全てが仏性なのだ」という意味になり、そうした解釈もございます。一般的には、「一切の衆生は悉(ことごと)く仏性を有している」と。生きとし生けるもの全ては、仏の性(しょう)、性質を持っていると教えられています。
この教えは、本当にすごい教えだと思います。
「一切の衆生」とは「生きとし生けるもの全て」ということでありますから、人間はもちろん、花などの植物や空も入ってきます。また、日本は島国で、きれいな海が周りを取り囲んでいます。人間の仏性だけでなく、花にも空にも海にも、この世のあらゆるものに美しさが潜んでいると仏さまはいわれるのです。
私たちは、花にも空にも海にも、あらゆるものに生かされて生きています。一体になって生きているわけです。そうした全てのもの、一切の生きとし生けるものは、本当に素晴らしく、全てに美しいものが潜んでいるのですから、それに気づいて、共々に人生を全うしていきなさい、ということが「一切衆生悉有仏性」に込められているのです。
(11月10日)