光祥次代会長 WCRP/RfP国際委のワールドカウンシル会合でスピーチ

(WCRP/RfP国際委提供)
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会による執行委員会ならびにワールドカウンシル会合が7月28、29の両日、トルコ・イスタンブール市内のホテルで開かれた。WCRP/RfP国際共同議長を務める庭野光祥次代会長が出席、和田惠久巳総務部長が随行した。
WCRP/RfPは1970年に、庭野日敬開祖をはじめ国内外の宗教指導者らによって創設された。以来、世界の諸宗教による対話・協力を推進し、平和のために尽力してきた。ワールドカウンシルはWCRP/RfPの最高指導機関で、年に1回会合を開き、世界の現状や活動の方向性、進捗(しんちょく)などを確認している。
今回の会合は、2019年の開催から6年ぶりに対面で行われ、60人を超える世界の諸宗教指導者らが集った。光祥次代会長はWCRP/RfP国際共同議長として二日間の全てのプログラムに参加。28日の執行委員会ではセッションのモデレーターを務め、議事を進めた。

29日のワールドカウンシル会合では、開会のあいさつに立った。この中で光祥次代会長は、今年が「第二次世界大戦の終結から80年」「国際連合の創設から80年」という大きな節目に当たると述べ、この節目を単に回顧の機会で終わらせるのではなく、現代を生きる一人ひとりが平和への責任を引き受ける時であると強調した。その上で、祖父である庭野開祖から受け継いだ、仏教実践の本質とは「他者の幸福のために生きること」という教えを紹介。精神的なものにとどまらない極めて実践的な指針であり、庭野開祖の平和活動、軍縮への取り組みはこの信念から育まれたと語った。
また、WCRP/RfPが冷戦時代に創設されたことに言及し、庭野開祖をはじめとする創設者たちは軍拡競争に対抗し、対話や信頼による平和運動を構想したと述懐。以来、世界の諸宗教者らが後を引き継ぎ、手を携えて平和を働きかけてきたと述べた。
一方で、争いが絶えず、分断や恐怖が再び世界を覆う現代においては、軍縮のみならず「教育によって、人との関わりによって、信仰的信念を新たに平和の文化を育まなければならない」と明示。「今日この場に集う私たち一人ひとりが、平和と非暴力の言葉を見いだし、それを確かな行動へ移していきましょう」と呼びかけた。
この後、WCRP/RfPがこれまで培ってきた多様な宗教伝統と、現代の科学的知見を統合し、人々が相互につながる世界の実現に向けた新たなイニシアチブ「聖なる繁栄の分かち合い」の立ち上げ式が行われた。セッションに先立ち、正教会のコンスタンティノープル(現トルコ・イスタンブール)・エキュメニカル総主教であるバルトロメオ一世が登壇し、基調講演を行った。
バルトロメオ一世は、現代の物質主義や還元主義的世界観は、「人間の繁栄を物質的な次元のみに収束させ、聖なるものへの言及を体系的に排除してしまう」と指摘。そうした「聖なるものとのつながりの喪失」は、社会を構成する絆の喪失に直結すると危惧した上で、宗教間対話は「単なる平和な時代の贅沢品」ではなく、「避けることのできない必然」であると主張した。「私たちに求められているのは、それぞれの信仰の立場から良心による世界的連帯を築くこと」と述べ、WCRP/RfPの新たなイニシアチブが「物質の限界を超えたものへの道を開き続ける、未来への希望の証し」と結んだ。
このほか、世界的に注目されている「人工知能(AI)」の管理や倫理について宗教の視点から語り合うセッションなども持たれた。