「ローマ教皇フランシスコの遺言」(海外通信・バチカン支局)

23日からの聖ペトロ大聖堂での弔問を前に、教皇居所「聖マルタの家」の礼拝堂に安置された教皇フランシスコの遺体(バチカンメディア提供)
バチカン記者室は4月21日、同日早朝に亡くなったローマ教皇フランシスコの「私の生涯の末期に出現した(闘病生活の)苦しみを、世界平和と諸国民間での友愛のために神に捧げた」と記された遺言を公表した。
教皇は遺言の中で、「自身の生涯と神父、司教職を、私たちの主(キリスト)の母である聖母に託してきた」と述べ、復活を待つ間、自身の遺体をローマ市内の聖母マリア大聖堂(サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂)に埋葬してほしいとの願望を表明した。教皇は全ての国際旅行(友愛の旅)の前後には、必ず同大聖堂を訪れ、安置してある「ローマ市民救済の聖母画像」の前で、旅に対するご加護と感謝の祈りを捧げてきた。同大聖堂内での自身の墓地の位置を指定し、「大地に、簡素に、特別な装飾も施さず、墓標には“フランシスコ”とのみ記してほしい」との願望を残した。
教皇は2024年、教皇葬儀の簡素化を図ったが、弔問の儀へ至るまでのプロセスと種々の式典も同様だった。教皇の居室で行われていた死の確認儀式が無くなり、遺体を直接に棺(ひつぎ)に入れ、居室の礼拝堂に安置してから確認式が行われた。また、棺を開けたまま、遺体がバチカン広場を通過して聖ペトロ大聖堂(サンピエトロ大聖堂)へと運ばれ、大聖堂内でも、遺体が棺から取り出されて装飾された台座に安置される儀式が簡略され、開けられたままの棺が、シンプルでビロードの垂れ幕で覆われていない、低く地面に近い台座の上に置かれた。遺体を居所の「聖マルタの家」から聖ペトロ大聖堂に移す式典には、約2万人の聖職者や信徒が参加した。
教皇儀典室の発表の通り、弔問の儀は23日の午前9時から聖ペトロ大聖堂で開始されている。25日午後8時に終わり、棺を閉める式典が行われる予定だ。葬儀は26日の午前10時からバチカン広場で挙行される。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)