「韓国の民主主義を擁護するキリスト教、仏教と世界教会協議会」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
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韓国の民主主義を擁護するキリスト教、仏教と世界教会協議会
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12月3日、「非常戒厳」を宣布し、6時間後にそれを解除した。その理解困難な大統領決断が生み出した政治混乱に憂慮する韓国教会協議会(NCCK)は4日、「1987年に始まった韓国の民主化以来、韓国国民は民主主義に対する信頼を構築してきたが、尹大統領はそれを裏切った。彼の行為は、韓国社会を深い暗闇へ引きずり込もうとする試みであり、われわれの(民主化へ向けての)努力を台無しにするものでもある」との声明文を公表した。
世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー総幹事は6日、尹大統領の決断が「重大なる憲法違反であると同時に、民主主義と人権を危機に陥れるものである」とするNCCKの見解を共有し、「この危機的状況の中で、人権、民主主義、法治制度を擁護するために努力する韓国の諸教会と他のキリスト教諸教会、市民社会のパートナーに対しての連帯と支持を表明する」との声明を発表した。ピレー総幹事は、1980年代に、韓国のキリスト教諸教会と市民社会の諸運動が軍事独裁政権下で基本的人権の蹂躙に苦しみながらも、民主主義と人権尊重を確立させるための勇気あるキャンペーンを展開していった、と振り返る。そして、「WCCは韓国で、不正義に対して正義を、独裁主義に対して民主主義を、紛争に対して平和を求める、同国の(NCCKに加盟する)キリスト教諸教会、他の諸教会や市民社会のパートナーと確固とした連携を構築する」と明言した。また、「この(大統領による)権力乱用と、これからの韓国民主主義に対する脅威への恐れから派生する政情不安を、注意深く監視していく」とも警告した。
アジアのカトリック国際通信社「UCAニュース」は4日、韓国カトリック司教会議(CBCK)が、尹大統領は国民に対して、何が起こったのかを説明し、国民に詫(わ)び、非常戒厳の宣布と解除に関する責任を負うべきだとする声明文を明らかにした、と伝えた。声明文では、韓国の民主主義は歴史的に大きな犠牲によって構築されてきたと強調。「カトリック教会は民主主義の擁護を支援し、そのための運動に連帯を表明する」としながら、尹大統領と同国政府に対して、韓国カトリック教会と韓国国民の要請に、真摯に応えていくよう強く呼びかけている。
同通信社は、韓国のメソジスト教会も、尹大統領による非常戒厳の宣布を「民主主義に対する挑戦」と定義し、「非常戒厳は、国民が政府に与えた信頼を裏切る行為」と非難していると報じる。さらに、「幾つかの韓国仏教グループ」も、非常戒厳を「憲法違反」と呼び、同大統領自身が「弾劾へ向けての法的措置の基盤を築いた」と指摘した、と伝えている。