安城教会 周年記念行事で地元の高校生とTKWOが演奏 地域と惜しみなくつながる

TKWOと安城学園高校のコラボコンサートの様子

前夜から降りしきる雨がやんだ6月23日、愛知県の安城市民会館に、人が続々と集まった。この日、立正佼成会安城教会は発足50周年を記念し、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)によるアンサンブルコンサートを開催。後半には、同市内にある安城学園高等学校吹奏楽部とのコラボ演奏が行われた。このコンサートが実現するまでには、会員全員参加での“挑戦”があった。

50周年を迎える感謝を地元の人々に伝えたい――。日頃から地域との交流を大事にしている安城教会は、周年を機に会員、未会員の垣根を超えてつながりたいと、サンガ(教えの仲間)で対話を重ねてきた。ある会員から、音楽で感謝を届けようと、TKWOによる演奏会が提案された。賛同した会員から「地域の青少年に本物の音楽を聴いてもらえたら、どんなに素晴らしいだろう」との声も上がり、高校生との共演を企画。地元の高校が受け入れてくれるだろうかという不安も出たが、対話を重ねる中で、「“当たって砕けろ”の思いで感謝を表していこう」と皆の心が固まった。

はじめに、実行委員の一人である男性会員(63)が市内の公立高校に向かった。試験期間と重なり実現できなかったが、「あらゆる人と協力できる開かれた安城教会であり続けたいとの思いで、自らの殻を破るステップを踏ませて頂きました」と振り返る。

この話を聞き、今度は、元支部長の女性会員(75)が動いた。昔から近所付き合いをしてきたAさんの夫が市内にある安城学園高校の校長だった。「これは縁だ」と2月に演奏会を打診。約1カ月後、同校から「喜んでお受けいたします」と電話があった。サンガ一同、喜びを分かち合い、中には目頭が熱くなった人もいた。

迎えた当日、会場には、同教会会員、安城学園の生徒と保護者、大村秀章愛知県知事、歴代教会長ら1100人以上が集った。

客席でコンサートを楽しんだ会員たち

コンサートは、同教会の高校生によるみずみずしい司会で開幕。木管楽器、サックス、金管楽器、それぞれのアンサンブルが奏でられ、「さくらのうた」(福田洋介作曲)、「日本の四季~懐かしの童謡メドレー~」(野村秀樹編曲)など8曲を披露。「男はつらいよ」(山本直純作曲/大塚子龍編曲)では、TKWOメンバーが寅さんになりきって「私、生まれも育ちも葛飾柴又です」と語り出すと、会場にどっと笑顔が咲いた。

最後に、TKWOのメンバーと同校の吹奏楽部員70人によるコラボ演奏が行われた。TKWOのメンバーが各パートの席に着くと、高校生たちは表情を引き締め、生き生きと目を輝かせた。はじめに「魔法にかけられて」(A・メンケン作曲/鈴木英史編曲)を披露し、迫力ある鮮やかな音色がホールを包み込み、華やかなステージで会場を沸かせた。「ワン、ツー、スリー、フォー」というかけ声とともに、「カン・カン・コン」という陽気なリズムが聞こえてきた。アゴゴベルという打楽器の演奏で始まったのは「宝島」(和泉宏隆作曲/真島俊夫編曲)だ。この日の最後を飾り、鳴りやまない拍手喝采。大成功に沸き立った。来場者からは「泣きそうになりました。感動した!」「幸せな時間を過ごせました」と感想が聞かれた。

「日本を代表する奏者の方々の音を隣で聞いていたら手が震えちゃって……、感動しました。一緒に演奏できてとてもうれしかったです」と声を弾ませたのは、同校吹奏楽部の部長(18)。副部長(17)も「コラボが決まった時、うれしくて夢のようでした。プロの演奏を間近に聴けて鳥肌が立ちました。このような機会をくださって本当にありがたいです」と満面の笑みで語った。

開演前は長蛇の列ができた

周年記念行事の実行委員長を務めた壮年部長(58)は、「今年の教団方針にある再出発に呼応し、50年の礎の上に、少年部、学生部、男女部、婦人部、一般、壮年部の全員が一歩を踏み出すことで、想像を超える、新しい形の安城教会らしい周年を迎えられました。この経験は教会全体の自信につながります」と話した。