フォコラーレ運動主催の諸宗教の集いに光祥次代会長が出席(動画あり)
フォコラーレ運動(カトリックの在家運動体、本部・ローマ)の主催による「諸宗教の集い」が5月31日から6月4日まで、イタリアで開催された。ローマ近郊のカステル・ガンドルフォにあるマリアポリセンター(同運動の研修センター)で行われたプログラムには、立正佼成会から庭野光祥次代会長が出席、スピーチに立った。和田惠久巳総務部長(理事)、佐藤京司理事、根本昌廣参務らが随行。本会の青年部員と学林生14人による「青年隊」も同行した。3日には、光祥次代会長、青年隊の代表メンバーらがバチカンでローマ教皇フランシスコに謁見(えっけん)した。
今回の集いは2020年、同運動を創始したキアラ・ルービック師の生誕100周年記念行事として行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行で延期され、今年の開催となった。『ONE HUMAN FAMILY』を大会テーマに掲げた5日間のプログラムでは、諸宗教間対話に関するテーマのほか、「新しいテクノロジーと人工知能」「経済と平和」「信仰の信念と価値観と投資」といった今日的な課題に焦点を当てたトークセッションが行われた。会場には、生前のキアラ師とゆかりのある宗教者や識者約400人が集った。
6月1日のプログラムは、諸宗教による「平和の祈り」で開式。ヒンドゥー教、ユダヤ教、イスラームに続き、本会の京都教会学生部員(21)、豊田教会学生部員(21)の2人が登壇した。京都教会の学生部員は、本会の「祈りのことば」を引用し、皆で小さな幸せを持ち寄り、大きな幸せを分かち合うことが、仏教における一乗の教えであるとの自らの受けとめ方を紹介。あらゆる違いを超えて平和な世界を築くため、「まず私から、隣にいるあなたに手を差し伸べます」と誓願した。この後、二人が鈴(りん)に合わせて題目を三唱すると、聴衆から温かな拍手が送られた。
次いで、『人工知能が対人関係や宗教間関係に与える影響』をテーマとしたトークセッションが行われた。フォコラーレの青年による質問形式で、インターネット資源の管理を行う国際非営利組織ICANNのファディ・チェハデ前最高経営責任者らが、人工知能(AI)の進化に伴う有益性と負の側面について答えた。チェハデ氏は、AIがより広い分野の問題解決を可能にした汎用(はんよう)人工知能(AGI)に進化し、専門的な知見を集合させて答えを導くのみならず、利用する人間の性格や特性も考慮して答えを導き出すことができるようになったと説明。これにより、教育や医療の分野での活用が顕著になると話した。一方、人を介さずに標的を判断して攻撃する自律型致死兵器といった軍事利用、また、AIの開発には莫大(ばくだい)な費用がかかることから経済格差が開発格差となり、世界の不平等を広げるなどの点に懸念を表明。あらゆる社会システムにAIが浸透している今こそ、愛、思いやり、道徳、倫理観といった人間性に基づいた判断が重要であり、これが人類の幸福につながるとの考えを示すとともに、AIを開発する段階で、知識基盤に諸宗教の精神的価値を盛り込むなどの具体案を解説した。
プログラムの合間には、各国の青年宗教者が庭園に集って親睦を深める機会が設けられた。また、夜には、諸宗教コミュニティーごとに歌やダンスといった出し物を行う「フェスタ」が行われ、本会の青年隊はソーラン節を踊り、会場を盛り上げた。
フォコラーレ運動
「皆が一つになるように」(ヨハネによる福音書17章21節)というイエス・キリストの最後の祈りの実現を目指し、愛の実践に取り組む在家国際運動体。第二次世界大戦末期の1943年、キアラ・ルービック師(初代会長)が仲間とともにイタリア・トレントで創立した。62年、同運動はカトリック教会に認可されて世界に広がり、現在、182カ国に200万人の賛同者がいる。同運動による国際的な教会一致、諸宗教対話・協力、平和社会活動は高く評価され、キアラ師は77年に“宗教界のノーベル賞”と呼ばれるテンプルトン賞を受賞した。また、本会との交流は、75年にバチカンを訪問した青年使節団に始まり、79年、キアラ師と庭野日敬開祖がローマで初対面。以降、本会と同運動は相互交流を重ね、さらに世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)なども通じて信仰と信頼の絆を深めてきた。第二代会長のマリア・ボーチェ師は2010年、第三代会長のマーガレット・カラム師は23年にそれぞれ来日し、本会を訪れている。