本会一食平和基金 エチオピアの女性と子どもの人道危機、ロヒンギャ難民キャンプ火災被害に対し緊急支援
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)はこのほど、エチオピア・ティグレ州で起きた内戦と干ばつの影響で飢餓に苦しむ女性と子どもへの緊急対応に2万ドル、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで1月上旬に発生した大規模な火災被害の支援に200万円の拠出を決定した。
エチオピアの未来を救うために
多民族国家のエチオピアでは1991年、ティグレ人民解放戦線(TPLF)を中心に民族政党4党が連合政権を樹立。以来、各民族が主体となって地方分権を進めてきた。
しかし、2019年に中央集権を目指して、より多くの民族政党が加わる新政権が発足し、これに異を唱えたTPLFと、20年11月にティグレ州で武力衝突。停戦までの2年間で住民の中に多数の犠牲者や国内避難民が出た。
同州では住民の多くが農業に従事するが、激戦地となったセハルティ郡ワレダ地区の農地には地雷や不発弾が残留。農業の再開は今も困難な状況にある。国連機関などの食料支援も昨年4月から滞り、干ばつによる不作も重なって食料が圧倒的に不足している。
このような地域は戦線の拡大とともに同州からエチオピア北部に広がり、全国民の3割弱の450万人(国内避難民100万人を含む)が人道支援を必要としている。妊産婦と子どものいる世帯はさらに深刻で、5歳未満の子どもの26.8%、妊産婦の3人に2人が極度の栄養不良に陥っている。
こうした現状を受け、エチオピア国民の健康と将来性を守るには飢餓の慢性化を防ぐことが急務とみた同運営委は、パートナー団体のティグレ救援協会(REST)に支援金を寄託。同団体では支援金を基に、すでに州内の妊産婦と子どものいる全世帯を対象にスクリーニングを展開しており、飢餓に苦しみ、生命の危険が迫る83世帯に対し、優先的に食料や生活用品を得るための現金を給付している。さらに、購入された食料を使った栄養改善指導も行われている。
ロヒンギャ被災難民の身心のケアに
一方、ミャンマーでは2017年8月、西部ラカイン州でムスリム(イスラーム教徒)の少数民族であるロヒンギャ60万人以上が、国軍による無差別攻撃を受けて隣国のバングラデシュに脱出。同国南東部のコックスバザール県内に点在する難民キャンプに逃れた。その中でも最大規模のクトゥパロンキャンプでは、難民が不安定な仮設シェルターで密集して生活しており、火災が頻発しているという。
こうした中、今年1月7日、クトゥパロンキャンプで大規模火災が発生した。死者はなく、97人が軽傷だったが、キャンプ内のシェルターのうち749軒が全焼し、93軒が半焼。生活基盤を失った5000人以上の難民が別のキャンプに避難する事態となった。
近年、ロヒンギャ難民支援への国際社会の関心が低いことを憂慮した同運営委は、18年から21年まで同委の支援を受けてロヒンギャ難民を救援してきた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への資金拠出を行った。
現在、UNHCRは被災難民に対し、水などの支援物資やシェルターの提供を行うほか、けが人の手当てや精神面でのケア、妊産婦へのカウンセリングも行っている。浄財は、こうした救援活動に役立てられる。