「ベトナムが常駐の教皇庁代表受け入れに合意」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

ベトナムが常駐の教皇庁代表受け入れに合意

ベトナムのボー・バン・トゥオン国家主席は7月27日、バチカンでローマ教皇フランシスコ、バチカン国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿と会見し、その後に公表される合同声明文で「ベトナム社会主義共和国が常駐の教皇庁代表を受け入れ、駐在事務所の設置に合意した」と明かした。

ベトナムは、ベトナム戦争が終わり、南北が統一されて共産主義政権に移行した1975年、欧米植民地主義勢力(特にフランス)の加担者として教皇大使を国外追放し、バチカンとの国交を断絶した。しかし、バチカン正義と平和評議会議長のロジャー・エチェガライ枢機卿が89年、ベトナムを公式訪問して以来、バチカンは毎年、使節団を派遣できるようになった。

96年には、ベトナム政府とバチカンの間で、司教任命についての交渉が開始された。2009年、両国は共同作業部会を設置することで外交関係の再樹立に向かって歩み始めた。以降、ベトナムとの関係は、シンガポール教皇大使を通し、必要のある時に同大使がベトナムを訪問する形で維持されてきた。

そして、今年3月末にバチカンで開催された第10回作業部会で、「在ベトナム教皇庁代表の(ハノイへの)受け入れと駐在事務所の設置」に関する合意が成立し、今回、その合意書への署名が行われた。

合同声明文には、今回の合意で「カトリック信徒たちが、教会の教えに沿い、“国家に付き添う”使命と、“良きカトリック信徒、良き市民”としての役割を果たし、国家の発展に貢献」できるようになる、と記されている。

ベトナムとバチカンは、今後、両国間の大使と大使館を通して外交関係の完全樹立を目指す。ベトナムのカトリック信徒は、総人口の9%にあたる約800万人で、仏教徒に次ぎ2番目だ。同国での仏教徒とカトリック信徒との対話は、積極的に進められている。

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