「青年の日」各地で学習会 社会問題など共に考える契機に
全国の立正佼成会青年部員が地域社会で菩薩行の実践に励む「青年の日」。その啓発日(毎年5月の第3日曜日)にあたる5月21日を中心にさまざまな取り組みが行われた。この中から、法律や憲法の観点から社会や平和について考えた御殿場、福知山両教会の活動を紹介する。
御殿場 SNSでの事件をテーマに 一人ひとりの意識を高めて
今年1月、回転寿司チェーン店でしょうゆボトルの注ぎ口をなめるなどした動画をSNSに投稿した高校生の少年が、今年3月に提訴された。近年、飲食店やコンビニなどで撮影した「迷惑動画」をSNSに上げる事件が、大きな社会問題となっている。正しいネットリテラシーを身につけ、倫理観を養うことを目的に、御殿場教会は5月21日、SNSから見える社会問題を考える学習会を開いた。
きっかけは、発案者である青年総務の男性(50)の体験だ。スポーツ監督を務める友人から、「令和だから」と朝のあいさつを拒んだ部員がいると聞き、現代社会を生きる若者の“特性”に不安を覚えた。その後、法律に詳しい市議会議員と話す機会に恵まれ、今後、迷惑動画のような事件の防止につながればと、同議員から法律の知識を学んだ。その情報を共有し、常識やモラルの意識を高める青少年育成の重要性を感じたことから、今回の学習会を企画した。
当日、若者や親子連れなど20人以上が教会に集った。青年総務は冒頭、刑法にある威力業務妨害や器物損壊といった迷惑動画事件に関わる法律を詳述。高額な賠償額についても説明し、出来心による安易な行為であっても、重大な罪と社会的な責任を負うことになると強調した。
さらに青年総務は、前述の事件を調べる過程で、少年が近所の畑仕事を手伝うなど“ごく普通”の若者であることを知ったと発表。「目の前の表面的な出来事だけでなく、どうして事件を起こしたのか、その奥にあるものは何かを考えてもらいたい」と語りかけた。
この後、参加者は三つのグループに分かれ、感想や疑問を話し合った。このうち、小学生の子供を持つ保護者は、授業でタブレットを使う現状に言及。学校内で子供たちが不適切な動画を撮ったり、撮られたりしてしまう可能性があると不安な気持ちを吐露した。これに対し、班のメンバーから「IT機器は毒にも薬にもなる」「YouTubeを見ることについて、注意はするけど全否定しないようにしている」という意見が上がり、不安を吐露した保護者は「子供との対話を心がけ、IT機器やSNSの注意喚起を怠らないようにします」と話した。
一方、炎上事件に限らず、学生がSNSに動画を投稿することについて「ノリが悪いと『陰キャ(陰気なキャラクター)』と周囲に判断されるから、動画を撮らざるを得ない状況にある」という声も上がった。
参加者の女子部員(32)は、「一人ではしないことも仲間内だと気が緩み、その場のノリだけで何かをしてしまうのは誰にでもあることかもしれません。一人ひとりが意識を持つことが大事だと思いました」と感想を述べた。