WCC新総幹事の就任式典が開催(海外通信・バチカン支局)

就任式典でスピーチに立つジェリー・ピレー新総幹事(WCCプレスリリースから転載)

スイス・ジュネーブを拠点とする世界教会協議会(WCC)本部のエキュメニカル礼拝堂で2月17日、同協議会の第9代総幹事となるジェリー・ピレー氏の就任式典が執り行われた。スイスのキリスト教諸教会代表者、ジュネーブ市民社会の指導者、国連欧州本部の関係者、WCC加盟教会、南アフリカのプレスビテリアン合同教会や同国教会協議会の責任者らが参加した。

ピレー新総幹事は、南アフリカのプレスビテリアン合同教会に所属するインド系牧師で、同国プレトリア大学で神学・宗教学部の学部長を務めていた。前任のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事は2020年3月末に退任したが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、ピレー新総幹事が中央委員会によって選出されたのは22年6月17日となった。そして、今日まで2年以上にわたり、ルーマニア正教会の指導者であるイオアン・サウカ神父が暫定総幹事、総幹事代行を務めてきた。

就任式典でピレー新総幹事は、『十字路にある教会』と題してスピーチした。この中で、「キリスト教の教会が今日、世界における真の使命を忘れているかのように見受けられる」との問いを発し、「われわれが自身の道を歩み、自身のプログラムを遂行し、自身を満足させるために教会活動を行っているようだ」と指摘。「われわれは立ち止まり、主なる神が何を望まれ、われわれがどのようにして神の定められた目的を遂行できるのかについて、問いたださなければならない」と戒めた。

また、キリスト教会の目的は、「世界に向かって、キリストの救いの愛と恵みを伝達する」ことにあると主張。「われわれが、世界で貧しく、打ちひしがれ、忘れられ、苦しんでいる人々の横に立つ神と共にいなければならない」と強調し、「問題は、あなたたちが、WCCのメンバー教会としてどこに立つのか」ということだと呼びかけた。

WCCは、世界120カ国を超える国々にあるプロテスタント諸教会、正教会、英国国教会、聖公会、その他の諸教会からなる合議体であり、加盟教会の総信徒数は5億8000万人に及ぶ。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)