宗教評論家 ひろさちや氏が逝去 著作で仏教を広く伝える
仏教の教えを現実の生活に即して分かりやすく説いた宗教評論家のひろさちや(本名・増原良彦)氏が4月7日、肝臓がんのため死去した。85歳だった。
大阪府に生まれ、東京大学でインド哲学と仏教学を学び、1965年から20年間、気象大学校教授を務めた。退職後は「ひろさちや」のペンネームで、仏教をはじめとする宗教の解説書から、仏教的な生き方を綴(つづ)るエッセーまで幅広く執筆。難解な仏教の教えを平易な言葉で解説する文章は、仏教の入門書として多くの人に親しまれた。著作は600冊以上。人生をより楽に生きるこつを説いた『「狂い」のすすめ』(集英社新書)はベストセラーになった。
立正佼成会との縁も深く、気象大学校教授時代には庭野日敬開祖と機関誌上で対談したほか、1982年から2005年にかけて『仏教さんぽみち』や『「法華経」の三大聖地』など六つの連載で執筆した。また、佼成出版社から著書も多数出版。家庭や職場、生老病死の問題を仏教的に捉えて生きるヒントを示す『のんびり、ゆったり、ほどほどに』、空海、親鸞といった著名な仏教者の生涯や思想を紹介する「祖師を生きるシリーズ」、『〈法華経〉の世界』などがある。
さらに、講演活動にも力を注ぎ、本会の各教会でも、周年記念やご命日の式典などさまざまな行事で講師を務めた。長年の仏教研究を基に語られる生きるためのヒントは、聞く者すべての心をつかんだ。