東北支教区 オンライン平和学習会 航空写真で爆心地周辺の様子を確認
中学・高校生が広島の原爆の被害について学ぶ立正佼成会東北支教区の「オンライン平和学習会」が9月5日、ウェブ会議システムを使って行われた。11教会から84人が参加した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実際に戦跡を訪れることが難しい中、オンラインによる体験を通して広島での学びを深めようと企画された。
当日は、NPO法人「ヒロシマ宗教協力平和センター」(HRCP)のメンバーで、公益財団法人「広島平和文化センター」から委嘱を受けて被爆体験証言者としても活動する岸田弘子さんが講演。岸田さんは、広島市内の自宅で被爆し、生き埋めの状態から助けられた体験や、家族と逃げる際に見た周囲の地獄のような光景、また、原爆孤児となった夫の人生などを語り、原爆の悲惨さと命の尊さを訴えた。
その上で、「多くの命を奪う核兵器は絶対に地球上からなくさないといけません。私の話を聞いてくださった皆さんも、今日から伝承者となって多くの人にこの話を伝えてください。皆さんが平和について関心を深めてくださることで、必ず平和への道につながります」と語った。
この後、参加者はHRCPスタッフの説明を受けながら、「Google マップ」の航空写真によって爆心地周辺の様子を確認した。続いて、パノラマ画像により実際にその場にいるかのように景色を見渡せる「ストリートビュー」の機能を使って、広島平和記念公園内の諸施設を“見学”。普段は入れない原爆ドームの内部を注視したほか、「原爆供養塔」「原爆の子の像」「広島平和都市記念碑(原爆死没者慰霊碑)」などを巡り、各所で題目を唱え、慰霊の誠を捧げた。
昼食時には「一食(いちじき)を捧げる運動」を実践した後、原爆殉難犠牲者の冥福を祈り、全員で慰霊供養を厳修した。
最後に、大学生のスタッフによる「広島VR(バーチャル・リアリティー=仮想現実)観光」が行われ、写真で現地の名所が紹介され、広島城や厳島神社などに関するクイズが出題された。
石巻教会学生部員(14)は、「戦争や原爆は恐ろしく、二度と起こしてはいけないと思いました。現地には行けませんでしたが、ストリートビューでみんなと一緒に“ヒロシマ”を感じることができました」と感想を語った。
また、郡山教会学生部員(16)は、「岸田さんのお話から、原爆孤児の支援や広島の復興に尽力したアメリカ人がいたことを知りました。アメリカは原爆を落とした相手という意識しかありませんでしたが、アメリカ人のおかげで救われた命があることも知り、私も国や人種に関係なく、人を助けられるようになりたいと思いました」と述べた。