暴力的過激主義者との対話は可能か WCRP/RfP日本委が平和大学講座を開催

『暴力的過激主義者との対話――宗教者にできることは何か』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会による「平和大学講座」が3月7日、京都市の真言宗醍醐派總本山醍醐寺で開催され、約100人が参加した。立正佼成会から同日本委理事の川端健之理事長が出席した。

講座では、田中庸仁同理事(真生会会長)のあいさつに続き、中央大学名誉教授の眞田芳憲・同平和研究所前所長が基調発題に立った。この中で、「対話」とは元来、神が人間に語りかける言葉を指し、「真理を通して語り合う」という意味であることを紹介。神仏を尊び、非暴力による世界平和の実現を目指す宗教者には対話を担う役割があるとし、暴力的過激主義の解決に向け、「宗教者は暴力的な人々との対話の可能性を模索し、その道を歩まなければならない」と語った。

さらに眞田氏は、「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織に触れ、ISの誕生は、イスラームの文化や信仰が実践を伴わない単なる習慣となり、宗教としてのイスラームが衰退してきたことの表れであると説明。真のイスラームを復興させようとする動きが社会に生まれ、その一部から過激派が台頭してきたと指摘した。

一方、イスラーム全体が「暴力的」と誤解されている現状に対し、対話を進めるには諸宗教者が率先して真のイスラームを理解し、共感することが必要と強調。諸宗教者はその姿勢を示した上で、過激主義者との対話を可能にする環境づくりに努めることが重要と語り、イスラーム圏を含めた全世界に、「いのちの尊厳、共に支え合う安全保障、多様性の一致など、全ての宗教に共通する価値観を訴えていくことが大切」と述べた。

この後、眞田氏に加え、筑波大学名誉教授で東京国際大学の塩尻和子特命教授、天理大学おやさと研究所の金子昭教授によるパネルディスカッションを実施。武蔵野大学の山崎龍明名誉教授がコーディネーターを務め、イスラームへの偏見の解消や他宗教を理解する大切さなどについて意見が交わされた。