「友愛」の大切さを分かち合う「第34回世界宗教者平和のための祈りの集い」開催 ローマ教皇が出席
聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体、本部=イタリア・ローマ)主催の「第34回世界宗教者平和のための祈りの集い」が10月20日、ローマ市庁舎前のカンピドリオ広場で開催された。今回のテーマは『誰しも一人では救われない~平和と友愛』。新型コロナウイルス感染防止策が講じられる中、世界の諸宗教者や政治指導者など約250人が参集した。立正佼成会から水藻克年ローマセンター長が出席した。
同集いは、1986年にイタリアの聖都アッシジで開催された諸宗教者による「世界平和祈願の日」の精神を継承し、翌年から毎年、欧州の各都市で実施されてきた。
今年の「集い」では、聖エジディオ共同体創設者のアンドレア・リカルディ氏の開会あいさつに続き、イタリアのセルジオ・マッタレッラ大統領があいさつ。「アッシジの精神」をローマの地で再確認できたことを歓迎し、コロナ禍の中で、友愛と調和の価値を共有していかなければならないと述べた。
続いて、諸宗教者6人が講演。このうち、東方正教会コンスタンティノープル・エキュメニカル総主教のバルトロメオ一世は、人類が平和と正義へ導かれ、一つの家族のようになれる友愛を築くには、神に創造された全ての存在にとっての「共通の家」(地球)の保全が不可欠であると強調した。
さらに、コロナ禍を踏まえ、人は一人では救われず、その救いには人々の協力が必要であり、その協力の根底に友愛と平和の精神が備わっていることが重要と説いた。
また、曹洞宗ヨーロッパ国際布教総監部総監の峯岸正典師は、人は他者によって救われるとし、自らの存在が認められることが大切と明示。対話の促進や平和構築の重要性を訴えた。
ローマ教皇フランシスコは、これまで世界的な苦難が生じるたびに人々は互いに歩み寄り、平和のための対話を進めてきたと説明。宗教の多様性が平和に貢献することを確認し、コロナ禍をはじめ貧困、戦争、難民生活などで苦しむ人々のために、政治家と宗教者が協力して問題解決に取り組むことが求められていると訴えた。
この後、諸宗教の代表者が署名した「2020年ローマにおける宣言文」を発表。この中で、戦争や感染症など世界の諸問題解決に向けて、人々が友愛の精神を基に協力し、対話による力を発揮する重要性を唱えた。
なお、式典に先立ち、宗教別の祈りの集いが市内の各会場で行われた。