第七百三十八回波木井山川施餓鬼法要 庭野会長が法話 日々を感謝の心で (動画あり)
8月19日、山梨・身延町にある波木井山円実寺(長谷川喜章住職)で「第七百三十八回波木井山川施餓鬼法要」が行われ、庭野日鑛会長が参列した。さらに立正佼成会から國富敬二理事長、秀島康郎中部教区長、熊野隆規教務部部長、山梨県5教会の各教会長と会員代表が参加。鰍沢教会の会員が受け入れにあたった。
円実寺は、鎌倉時代に甲斐国の波木井郷の領主であった波木井公(南部六郎実長公)が日蓮聖人に帰依し、寄進した寺として知られる。また、川施餓鬼法要は、そばを流れる富士川の氾濫によって多くの犠牲者が出た際、波木井公が日蓮聖人に請願し、法要を営んだことに由来する。本会とは、昭和21(1946)年に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖が同寺に立ち寄り、その後に寺の再興を申し出て以来、親交を深めてきた。
例年、法要は午前と午後の2回行われているが、今年は新型コロナウイルスの感染抑制のため午前のみとなり、塔婆(とうば)の安置もやむなく取りやめになった。また、毎年、本会の50を超える教会から1000人を超える会員が参加しているが、それも控え、今回は本部教務グループがインターネットの動画共有サイトを使って法要の映像を配信した。
法要は本堂で営まれ、読経、焼香などに続き、僧侶により日蓮宗の修法が行われた。
この後、長谷川住職があいさつ。同ウイルスの感染拡大を防ぐため、法要の規模を縮小したことを説明し、不安の多い社会の現状に対して「一日も早くこの状況が終息しますように」と祈念した。また、日蓮聖人の「法華経を信ずる人は冬の如し。冬は必ず春となる。未(いま)だ昔より聞かず見ず、冬の秋と返れる事を。未だ聞かず、法華経を信ずる人の凡夫となる事を(法華経を信じる人は、あたかも冬のようなものだ。その訳は、冬は必ず春を迎えるからで、古来、冬から秋に戻ったことなど見聞きしたことはない。同様に、法華経を信じる人が凡夫のままでいるということを聞いたことはない)」という言葉を紹介。参列者に向けて、「このお言葉を胸に、今、この苦しい時を乗り越えて頂きたいと存じます」と話した。
続いて、庭野会長が法話に立った。この中で、産経新聞の「朝の詩(うた)」に掲載された二つの作品を紹介しながら、マスクをして過ごさなければならない、これまでと異なる日常生活ではあっても、「いつも、『ありがとう』という感謝の気持ちを失わずに、常に仏性礼拝(らいはい)をすることほど大事なことはないと思います」と述べた。最後に、同寺の檀信徒や本会会員の代表と共に参列できたことに謝意を表し、法話を結んだ。
円実寺と本会との交流
立正佼成会と円実寺との交流は、昭和21年に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖が七面山参拝の折、同寺に参詣したことに始まる。当時の本堂は大変古く、傷んでいたことから、その後、庭野開祖、長沼脇祖が「日蓮聖人の大恩人の波木井公のお寺をこのままにしておけない。私共も応援させて頂きます」と進言した。やがて本会会員と檀家信徒から浄財の支援がなされ、本堂が再建された。
以来、本会と同寺は親交を深め、庭野開祖が毎年、同寺の川施餓鬼法要に参列するようになった。平成8年の「波木井山開山・法寂院日圓上人第七百遠忌報恩(慶讃)大法要」に参列した庭野開祖は「お言葉」の中で、「日蓮聖人に帰依し身延全山を寄進した波木井公の精神こそ、私たちが見習うべき在家修行者の見本です」と述べている。