熊本地震3年 熊本教会で法要と復興イベント 犠牲者に慰霊の誠を捧げ、復興への思い新た

15日の式典では、読経供養の後、被災した会員による体験説法が行われた

2016年4月14日と16日に、最大震度7を観測した熊本地震の発生から3年が経過した。被災地域を包括する立正佼成会熊本教会は4月15日、教会道場で「熊本地震被災者大法要」を厳修。同21日には、「熊本地震復興イベント2019」を開催した。犠牲者の追悼と復興に向けたそれぞれの取り組みを紹介する。

熊本地震では、熊本、大分の両県で関連死を含む272人が犠牲となった。被災地では現在、災害公営住宅の建設や道路整備が進む一方、今も1万6519人が県内外で避難生活を送っている(3月31日現在)。

15日の法要では、震災犠牲者に慰霊の誠を捧げるとともに、復興への思いを新たにする目的で、389人の会員が参列。1分間の黙とう、被災した会員ら18人による「献鶴の儀」に続いて読経供養が行われ、地震による直接的な犠牲者の戒名が奉読された。

この後、女性会員(47)が体験説法に立った。同会員は、地震によって自宅が全壊し、不安を抱えたまま5カ月にわたる避難生活を送った。説法では、全国から駆け付けたボランティアや地元の人々の支えに励まされ、家族全員が少しずつ前向きに考えられるようになった体験を話した。

しかし、その矢先、一昨年6月に夫が病で急逝し、現実を受けとめられず、悲嘆に暮れた日々を述懐。今も悲しみは癒えないが、サンガ(教えの仲間)と共に追善供養を続ける中で夫への感謝を深め、「主人と結婚したことは、私の一生の宝物」と思えた心境を発表した。

あいさつに立った福田昌弘教会長は、慰霊法要とは遺族らの悲しみを和らげ、新たな生活を送るためでもあると詳述。全ての人が限りあるいのちを生きているとの事実を知り、一人ひとりが「今を精いっぱい生きることが大事」と強調した。

さらに、現象は一つでも、その物事の見方、受けとめ方は人によって異なることを説明。その上で、物事を感謝で受けとめるためには、「日常の中にあるうれしいこと、幸せなことを見いだす実践が大切です」と述べた。

この日、参加した女性会員(67)は、教会道場で避難生活を送った一人。「震災を振り返ると、つらい状況だった当時が思い浮かび、涙があふれます。それでも、少しずつ落ち着いた気持ちになれたのは、サンガがいつも隣で励まし、支えてくれたおかげさまです」と語った。

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