開祖さま生誕会 法華経に示された「一乗」の精神に沿った精進を誓う

庭野日敬開祖の生誕を祝うとともに、法華経に示された「一乗」の精神に基づき、布教伝道を誓願する「開祖さま生誕会」が11月15日、大聖堂(東京・杉並区)をはじめ、全国の教会で開催された。今年は、開祖生誕111年にあたる。この日、大聖堂には約4100人が参列。式典の模様は、インターネットを通じて全国各教会に配信された。

明治39(1906)年11月15日、現在の新潟・十日町市に生まれた庭野開祖は、長沼妙佼脇祖との出会いを経て、昭和13(1938)年、本会を創立した。以来、「人を救い、世を立て直す」との精神のもと、法華経を多くの人に伝え、人々の救済に尽くした。また、国内外で宗教対話・協力を積極的に展開し、世界平和の構築に心血を注いだ。

大聖堂の聖壇には全国26教会から届けられた果物や米など、各地の名産品が奉納された。読経供養では、導師をつとめた庭野光祥次代会長が庭野日鑛会長名の啓白文を奏上した。

続いて、会員を代表して体験説法に立った取手教会青年婦人部長(42)は、夫の借金問題や次男の不登校に悩んだが、サンガ(教えの仲間)の助言によって夫との絆を取り戻した体験を語った。

また、自分と同じように子供の不登校に悩んでいる母親と出会い、そのつらさに寄り添う中で、次男の心の成長が見えてきたと述懐。「主人の借金も次男の不登校も、私に『困難が生じると逃げてしまう』という自分の性(しょう)に気づかせるための仏さまのおはからいだった」と述べ、一層の精進を誓った。

この後、法話に立った庭野会長は、「生誕」の意義に触れ、釈尊が誕生したときに発したとされる「天上天下唯我独尊」を示し、「人間は一人ひとりが皆、尊厳なる存在である」と説明。その上で、「自分の内に尊厳を発見する人は、他の全てのものに対して、自己と同じ尊厳を見ることができます」と語り掛け、自他不二を説いた。

さらに、「一切衆生悉有仏性」の教えを挙げ、「全ての人に仏性が具(そな)わっている」「人も花も空も、全てのものが仏性の現れである」という二つの意味合いを詳述し、「このように受け取ることができたら、私たちは本当に豊かな心の人間になることができます」と話した。

また、中国に古くから伝わる「撃壌(げきじょう)の歌」から「日出でて作(はたら)き、日入って息(やす)む。井を鑿(うが)って飲み、田を耕して食(くら)ふ」の一説を紹介。庭野開祖が生前、早寝早起きを励行したことを振り返りながら、「当たり前のことを当たり前にするというのが口癖でありました」と語り、皆で共に精進を重ねていくことが庭野開祖の喜びと結んだ。