「核なき世界」の実現に向け 本会が国連に寄託した100万ドルの基金の原資を活用

立正佼成会が1983年に国連に寄託し、基金として運用されていた100万ドルを活用し、今後の軍縮教育に充てることがこのほど、本会と国連の間で合意に達した。これまでは基金の利子のみが軍縮活動に充てられてきたが、寄託から30年以上が経ち、軍縮・核廃絶の一層の推進を目的に、本会が原資の活用を提案したもの。10月23日、ニューヨークの国連本部で調印式が行われ、川端健之理事長と中満泉・国連軍縮担当上級代表(国連事務次長)が合意書に署名した。

1983年、本会は国連の平和活動を支援するため、一食(いちじき)平和基金から100万ドル(当時約2億3600万円)を拠出した。これは、前年に国連本部で開催された第2回国連軍縮特別総会(SSDII)の席上、国際自由宗教連盟(IARF)の代表として出席した庭野日敬開祖が演説の中で表明したことによるもの。演説に立った庭野開祖は、米国とソ連(当時)を中心に軍備が拡張され、核実験が繰り返される東西冷戦下の状況を憂慮し、国連や各国政府に対して、「目下の急務は核兵器廃絶のために世界世論を喚起すること」と訴えた。その上で、「平和と国際間の相互理解促進」を目的に国連の軍縮活動への支援を発表した。

翌年、国連に100万ドルが寄託された後、国連軍縮部は87年、この浄財を原資に基金を設立。以降毎年、基金の利子を活用し、主にネパールのカトマンズにある国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)の取り組みに生かされてきた。

今回の合意は、「核なき世界」の実現に向け、先行きの見えない世界の現状に対し、庭野開祖の意志を引き継ぎ、基金の原資を切り崩してもなお、軍縮・核廃絶に向けた動きを加速させたいとの本会の判断に基づき、なされた。今後、100万ドルの基金の原資は、軍縮・核不拡散教育の教材の作成、市民への意識啓発、ワークショップの普及といった平和推進プログラムに活用される。

1982年に行われたSSDⅡの席上、庭野開祖は演説に立ち、国連の軍縮活動に対する100万ドルの拠出を表明した

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