「世界難民の日」に合わせてJARがトークイベント 認定を受けた難民をゲストに

「世界難民の日」である6月20日、認定NPO法人「難民支援協会」(JAR)によるトークイベント「Refugee Talk――難民を学ぶ夕べ」が東京・渋谷区のイベントスペースで行われた。当日は、会場に集った市民85人を前に、日本で難民認定を受けたエチオピア出身のアブドゥ氏が講演した。

エチオピアでは現在、政府によるオロモ民族への弾圧が続き、難民が発生している。オロモ人であるアブドゥ氏も、故郷で不当な投獄や解雇に遭い、生存の危機に直面した。2014年、日本に逃れ、16年に難民認定を受けた。

アブドゥ氏はトークイベントで、故郷での体験とともに、来日後の生活や自身の心の変化を紹介した。身を寄せる場所も所持金もなく、不法滞在で拘束されるのではないかとおびえ、生きる自信を失って過ごしていたと述懐。支援を求めたJARで、食料や住居、難民認定申請のアドバイスを受けたことが「人生の転換点になった」と述べた。

一方、日本の難民認定の手続きの複雑な仕組みに言及。自分が難民であることを立証する資料の調達や、それを提出する際に行う日本語への翻訳作業が困難であると強調し、「支援を得ることができなければ自力では無理だった」と話した。

受理されるまでの期間についても触れ、JARをはじめ、(公財)アジア福祉教育財団の難民事業本部などからさまざまなサポートを得て、日本語を学び、就労できたと報告。そのことで、運転免許の取得や大学進学といった新たな目標ができたとし、「安心して生きられることで、未来について考えられるのだと思う」と語った。

自身の体験を踏まえ、難民問題は世界が抱える「病の症状の一つに過ぎない」と指摘。難民への直接的な支援が大事とする一方で、「難民を生み出す紛争や差別、弾圧など根源的な問題が残されています。そうした問題の解決について考え、手を差し伸べてほしい」と訴えた。